古民家のほうが長期優良住宅
神戸、箱木千年住宅を見て
2000年ころ、「200年住宅」と言われ始めたころからこの古民家を見続けています。自宅から2Kmくらいのところにある建物なのでご紹介します。97年、阪神淡路大震災にも耐えた、この建物は1300年頃に建てられたわが国最古の古民家です。この頃にこれだけ均整のとれた構造の建物が建てられたのには驚かされます。しかも自然環境と調和し、風景と一体化している意匠力。意味のないデザインに満足している自称建築家の皆さん、ぜひ一度ご覧ください。700年の時を越えた今も、著名な建築家の住宅建築にもなんら引けをとらないこの建物に圧倒されます。
戦後の木造建築は進化した?いまだに防蟻、防腐、劣化問題、耐震性、断熱、結露問題が解決していません。この時代に既に考慮されていたかと思うと、現代の木造住宅もプレハブ住宅もこの建物の前では通用しません。長期優良住宅に携わっている国交省、技術屋の皆さん、いまだに柱の小径がどうの、耐震性がどうの、断熱性能がどうの、配管の維持管理がどうのこうのと言っている皆さん、700年前のこの長期優良住宅を参考にされてはいかがでしょうか。
さて、08年に「200年住宅法案」が閣議決定されましたが、現在の軽量鉄骨や木構造ではメンテナンスをしなければ50年も対応できないのは歴然。消費者を混乱させるだけでなく、業界が破綻することになるので、プレハブ住宅業界や木造住宅業界が国交省に圧力を掛けていつの間にか「長期優良住宅」と改名されました。
この「千年家」も建てたまま何もしないで今日まで持ちこたえた訳ではないようです。もともとは、西側の棟と東側の棟と別々に建っていたそうです。数々の修理や変更が加えられていて江戸時代中ごろにも改築され、その後、江戸時代の末頃になって別々に分かれて建っていた建物の間に二室を建て込んで一つの棟に改築されています。ちなみに構造体は、檜や杉ではなく裏山の松材だそうです。
木造建築は維持管理が悪いと大変デリケートな材料なので常時点検、修理が必要です。法隆寺は千年以上の耐久性があるので日本では木造が一番と言うのは詭弁です。社寺仏閣も数百年と言われていて、当時の姿、現存のままという木造建築はありません。いま現存している大半の木造建築は100~200年に一度本格的な修理、改装が行われ、200~300年に一度大改築、再建築がされています。


