256号・お客様の嗜好は豊かさの度合いで変化する
景気が本格的に回復してくると住宅購入者は、下記の欲求消費者、理性消費者から感性、感動を求める消費者に変化していきます。これまでは「良いか悪いか、安いか高いか、構造、性能、AM保証はどうか」が欲求消費者、理性消費者の判断基準の多くを占めていましたが、これからは感性が合うか、合わないかが、より大きな比重を占めるようになります。
被対面販売が定着するとお客様は、住宅会社のWEBを見て、自分の感 性に合う会社を選んでくる時代になってきます。 価格か、構造か、性能か、デザインか、住まいを通じて生涯お付き合いのできる会社か、会社の特徴をはっきりと打ち出す必要があります。何でもやっていますでは、お客様は来ていただけなくなります。
・消費形態のイメージ
消費形態には、①欲求消費②理性消費③感性消費④感動消費のステップがあります。
自動車で例えれば、欲求消費は豊かさの初期段階で自動車がほしい。自動車であれば少々性能が悪くても、まずは動けばよい。新興台頭国ではこの段階です。
暫くすると、1リットルで何キロ走るとか、加速力はどうかなど比較、検討して頭で判断するようになる理性消費。中国の一部ではこの段階まで来ています。
豊かさの次の段階は、自動車の性能がどのメーカも同じレベルになってくると今度は、自分の使用目的や価値観、デザインで選ぶようになります。これが感性消費。日本の一般消費者はこの段階にあります。
そして、更に余裕のある富裕層は感動を求めるようになります。この感動消費は、カタログやパンフレットでは理解できないもの。コーナリングが良いとか、乗り心地、使い勝手が良い、自動運転など乗ってみて初めて体感することのできるモノを求めます。
・国のイメージで分ければ下記のようになります
| 欲求消費:ロシア、中国、ブラジル、インド、南アメリカ、ベトナム 理性消費:韓国、一部の中国人 感性消費:日本、アメリカ、欧州 感動消費:世界の富裕層 |
あくまで個人的なイメージです。
住まいで例えれば
・安くても家がほしいが欲求消費。
・構造、気密性能、断熱性能、省エネ性能、耐久性など性能重視が理性消費。
・個性やデザインで選ぶのが感性消費。
・デザイン、設計図書などでは体感することのできない感動。住んでみて初めて快適さ、ゆとりや豊かさ、その住まいでしか感じることのできない感動をもとめるのが感動消費。
住宅会社のイメージで分ければ
| 欲求消費:タマホームなどのローコスト住宅 理性消費:大半の大手ハウスメーカー 感性消費:積水ハウス、三井ホーム、住林、ミサワ等一部の高額商品 感動消費:意匠系の設計事務所、本物の建築家による設計 |
ということになります。イメージですので特定するものではありません。
あなたの会社のイメージはどのタイプ?何処に該当するかあてはめてみてください。
まず、あなたのお客様がどのタイプかを見極めることが肝心です。そして、そのタイプにあった営業、設計対応をすることが大切です。
1・欲求消費段階の特徴
・取得の種類:一時取得者
・年齢: 20~30歳代
・職業: 職人さん、自営者、中小会社勤務等
・世帯収入: ~500万円
・現住まい: 賃貸AP/M・公営住宅、親と同居等
・重視: 予算と立地、一見豪華さや設備を重視する
・会社選択の動機:拘りがない。営業マンの対応を評価する。ノリで契約してくれる。大手は敷居が高いので地元工務店系を選ぶ。
・特徴①: とにかく家がほしい。勢いやノリで購入する。たとえば、ローンがついたとか営業マンの対応、設備(一見豪華)などが良かったとか。
・特徴②: 晩婚化により乳幼児、小学生がいる世帯が多い。そのため、ベビーカーや三輪車、アウトドアー用グッズなど小物が多いのでシューズルームがいる。子供を見ながらの対面キッチン、リビング階段、キッズコーナー・オムツ替えや洗濯物整理、ゲスト用の多目的和室・小さなお子様がいればロフトを付けてあげたりで契約できたりする。
・対処法: 意気に感じる人が多く、こちらの誠意に答えてくれる人が多い。
誠心誠意、スピードで対応する。
・店づくり: サンプルコーナーや住設の展示、小物の販売など元気で賑やかな店づくり。ベビーコーナーが必要。
2・理性消費段階の特徴
・取得の種類: 一時取得者
・年齢: 30歳半ば~40歳後半
・職業: 中、大会社・公務員、先生など
・世帯収入: 500~1000万円
・現住まい: 賃貸M・社宅、建売住宅など
・重視: 会社の信用、コスト。構造、性能・健康・省エネ・信用、安心を求める。
・会社選択の動機:ITで調べ上げる。評判を重視する。エリート意識が高いので安心のハウスメーカー系が好み。
・特徴①: 調査、分析、能力が高く、頭で判断する。ですが結果的に判らなくなって失敗する人が多い。競合他社も多い。自分が納得できなければ契約しないタイプ。
・特徴②: 情報に敏感なため話題の流行に影響を受けやすい。省エネ、ソーラー、スマートホーム、気密、断熱、耐震、耐久、健康資材、などの性能、長期優良住宅、フラット35などを重視。住宅に求めているものが偏っている。カタチに拘って、意匠や豊かさなどの本質がわからないタイプ。
・対処法: 自分が納得するまで契約をしてくれないので、相手の立場で考えてあげることが大切。
競合他社も多いので、本人が納得していない間は契約を迫らない こと。最後まで勝負を掛けないこと。
中途半端な知識では契約できないので自分でかなわないと思えば その分野に詳しい人を連れて行くなど。
・店づくり: 販売システム、構造、性能、技術などわかりやすい解説パネル、サンプルなどの展示が必要。
そして、豊かさが享受できるようになってくると、「感性」と「感動」を求めるようになります。
セキスイハウスもダイワハウスもミサワホームの家も変わらない。車でいえば、トヨタも日産もホンダも同じ性能になると、どこのメーカの家も車も品質、性能的には同じではないかと言うことになります。そうすると、今度は「感性」が新しい基準になり、自分の生活スタイル、趣味や個性、嗜好にあったものを買う「感性消費」の段階に移ります。
そして、その上の富裕層は「感動」を求めるようになってきます。住宅では、住んでみて初めて、デザインや使い勝手の良さや豊かさを感じるとか、健康になったとか、アレルギーが治ったとかが実感できる。車では、乗ってみて初めてコーナリングがすばらしいとか乗り心地、安全性が高いとかがわかったりします。これが「感動消費」です。
実際にその商品が自分にどんな感動を与えてくれるのか、それによって購入意欲をかき立てられるかどうかで決めるようになります。やっかいなことにこの基準は、カタログや映像では表現が難しい。いくら良いことを書いてみても体感していただかないことには理解していただけないのがこの感動です。こういう消費の変化をしていく中で商品をいかに売っていくかが、これからの課題となります。
これまでは良いか悪いか、安いか高いかが判断基準の多くを占めていたが、これからは満足するかしないかが、より大きな比重を占めるようになります。今後、ますますお客様が企業を選ぶ時代になってきます。
これからの「感動消費」と、すでに始まっているお客様の厳しい選択に対応できるハウスメーカーは、そう多くはありません。お客様の近くにいるハウスビルダーこそ、大手ハウスメーカーにはできない感動を与えることができます。 これからは、素人の営業では、住宅は売れなくなります。プロの営業、設計士の時代が近づいてきています。このことについて真剣に考えることのできるハウスビルダーしか生き残ることができなくなります。
3・感性消費段階の特徴
・取得の種類: 二次取得者・買い替え・建て替え
・年齢: 30歳後半~
・職業: デザイン系職業・ゆとり世代
・世帯収入: 1000万円~
・現住まい: 分譲M・分譲住宅など。
・重視: デザイン重視、感性が合う。フイーリング、店構えで判断する。
・会社選択の動機:デザイン雑誌から選ぶ。デザイン系工務店を探す。店の前まで来て感性が違うと思えば入店前に帰ってしまう。
・特徴①: 信用、安心、性能よりも自分の感性のあう会社を選ぶ傾向がある。拘りがあり手間が掛かるお客様。また、要望が多い割には予算が少ない。
・特徴②: 欧米のデザインや変わったデザイン、シンプル、ネオモダン、クラッシック、インテリアはアンティーク等々、オリジナリティ性や意匠を重視。大きな開口、吹き抜け、スキップフロアー、広いリビング、使用資材は自然素材などの拘りが強い。
*景気が回復してくると、この層がこれからもどんどん増えてくる。
・対処法: 性能や構造、会社のことを言ってもあまり関心がない。それよりも、施工例を見たがる。自分の感性を判ってくれる人がいるかを気にしている。営業マンに期待していないので設計のわかる人が対応する。事務所を見て感性があわなければ、入店する前に帰ってしまうよ うな人。そのような人は会社の感性があっていないので追いかけても無理。
・店づくり: プロが見て、納得できる建物だけの施工例写真を厳選して用意しておく。デザイン、感性を大切にした店づくり。
4・感動消費段階の特徴
・取得の種類: 買い替え、建て替え
・年齢: 40歳代後半
・職業: 経営者、成功者、医者、芸能人など
・世帯収入: 2000万円~
・現住まい: 分譲M・戸建て住宅に住んでいて別に土地を買って建てたい。
・重視: 豪華・より豊かさ、本物、感動を求める
・会社選択の動機:知名人の紹介。ブランドで選ぶ高級ブランド会社(三井H等)が好み・設計事務所・建築家を好む。
・特徴①: まず会社の安心感が前提で、①自分では創造できない感動できる住宅を求めるタイプ②デザインは解らないが豪華さを求める。
・特徴②: 性能、省エネなどよりも外壁(タイルや石)の材料、輸入物や豪華な内装、設備、家具を好む。吹き抜け、天井が高く大きなLDK。玄関、シューズルーム、WIC、浴室、洗面など広くて豪華。快適性よりも自慢のできる家を好む。
一方、本物がわかる人もいる。紹介者や先生、有名人といわれる人に弱い。
・対処法: 年配や地位の高い人、営業には社長同行も必要。
お客様に負けないくらい高級品で身を飾る。良いものを身につけ ているということは、仕事ができ収入も多い人だと思って安心してくれる。また、金持ほど騙されるといつも思っているので警戒心が強い。
・店づくり: 上品、高級な店づくりに加えて社員のマナー、身だしなみも大切。高級ブティック、セルシオのショウルームのような店づくり。
お客様層の変化
住宅価格の上昇だけでなく、金利も上昇し始めるとお客様の所得層も変化しはじめます。金利が1%上がるだけでお客様の層が変わってしまいます。 なぜか住宅が売れなくなってきたとスランプを感じるようになってくれ ば、お客様が減ってきたのではなく、お客様の変化に伴って、その嗜好、生活スタイルの変化に間取りやデザインの対応、営業、設計、商品の対応ができていないという事が考えられます。
詳しくは、発売中の「これで解決、家を建てる前にお読みください」を参考に対策していただければ幸いです。
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本の概要
第2次安倍内閣成立の2012年ころより、景気も回復傾向にあり金利も低金利で安定していて、住宅工事費も少しずつ値上がり傾向で住宅業界も回復傾向にあった19年春にコロナショック、21年春にはWOOD SHOCK、住宅業界にも大きな変化が出始めていました。
社会は、ESG、SDGs、脱炭素、感染対策、働き方改革/在宅勤務、少子化傾向など、ニューノーマルな時代へ大きく変化しつつあります。住宅業界においては、省エネ推進、被対面営業、建材価格の上昇。生活スタイルにおいては、家庭内感染対策、在宅勤務、女性活躍、共働き世代の増加、小家族化を踏まえ、○LDKという部屋数重視から、豊かな空間、生活のしやすい、使い勝手の良い住まいが求め始められています。こうした大きな変化を踏まえて、住宅の間取りも多様に変わりつつあります。
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