294号・長期優良住宅は「ハウスメーカーの負担を軽く「施主の負担を重く」している

 政府は2005年になって、日本の住宅の寿命が、欧米に比べ耐久年数が極端に短いことの政策として、06年6月「住生活基本法」を施行。07年4月には、耐久年数が200年に達する「超長期住宅」の普及に向けた「200年住宅ビジョン」を発表し、08年2月には「200年住宅法案」が閣議決定されました。

 ところが、ハウスメーカーを含めた住宅業界団体は200年住宅となると今のままの構造躯体では長期耐久ができない、対応するためには構造体の見直し、工場設備から入れ替えないといけない、住宅価格も高くしないといけないとなり、上記団体から反対の抵抗にあい「200年住宅」という言葉が消え「超長期住宅」となり、いつの間にか「超」も外れて「長期優良住宅」で落ち着いたのだと思われます。      

 阪神淡路大震災の教訓も忘れ、耐震等級1(阪神淡路大震災級の「震度7程度」でも倒壊しない耐震性)でも長期優良住宅にしています。耐震等級1や2は従来の構造でも対応できる普通の住宅になったわけです。なので、長期優良住宅だといっても構造躯体の定期点検、構造体の補強を怠ると、生涯住み続けられるとは限りません。

・ハウスメーカーは長期優良住宅で囲い込み

 2009年、この長期優良住宅認定制度が実施されてからまだ15年程度。ハウスメーカーの住宅は、長期優良住宅と言えるのでしょうか。エクステリア、インテリアの見栄えはよくなってきているが、先述のような理由で、構造躯体の部材断面を大きくして耐久性を向上させようとしているのではなく、あくまでも従来の構造躯体を基本にして、一部屋スペース、階高の制限、防蟻保証を10年から5年に変更、耐震金物、制振装置、防錆処理で補強、補助するという考え方です。

 また、防蟻、防水、防腐、塗装等は、ハウスメーカーの定期的なメンテナンスによって耐久性を維持するという考え方です。保証期限後は、これらの維持管理費用は有償となっているので、年々家主の負担が大きくなってくると思われます。

 さらに、これらの定期点検、メンテナンスを怠ると税の特例処置や住宅ローンの金利、地震保険料の割引メリットが停止される場合もあります。    

 つまり、家主が維持管理、有償メンテナンスをハウスメーカーと一緒になって継続しなければ、ハウスメーカーの保証内容によっては免責となってしまいます。

 特に、ハウスメーカーの構造、デザイン、サイズ、納まりはクローズド工法なのでハウスメーカー以外のリフォーム会社や職人さん、誰でも維持管理、メンテナンスができるというものではないのでハウスメーカーにとっては、住宅がある限り、囲い込みができ、売り上げ、収益が確保できるといった仕組みのメリットがあります。半面、家主にとってはこれらの費用が大きな負担となってきます。

 日経新聞の試算によると修繕工事(キッチンやUB、洗面ユニット、トイレなどの設備機器は含まれていません)だけで筑後30年で約930万円(現在の価格)がかかるといわれています。さらに、これらの設備機器の入れ替えとなると500万円近くの上乗せとなります。これではいつまでたっても借り入れから解放されません。

・構造体は収益の要

 量産商品である自動車も住宅も、最も収益の割合が高い車両躯体、構造躯体をいかに最小にするか、量産効果を上げるかによって収益に影響を与えます。自動車でいえば鋼材を1台当たり10Kg軽量にすることが出来るとすれば、トヨタでは0,01Kgx1000万台/年x10万円/Tonとして=100億円のコストダウンとなります。

 住宅も同じです。3万戸/年、販売のハウスメーカーがあるとすれば、構造躯体である鋼材も木材も同じように1戸当たり、30万円の削減ができるとすれば90億円のコストダウンにつながります。このように贅肉は切り落とし、極限まで利益の追求を続けることが企業、工業化の目的でもあります。なので、ある一定保証期間の耐久性を想定して、その中で、最小の部材で最大の強度を追求しているが量産メーカーです。ゆえに、決して過剰な構造躯体ではありません。

・長期優良住宅の法定耐用年数をなぜ見直さないか

 長期優良住宅認定制度を導入して「住宅の耐久性を長くしたい」と表明しておきながら、大断面木造住宅も普通の木造住宅も法定耐用年数が同じ22年という事であれば、大断面木造住宅のメリットは感じられません。

 軽量鉄骨プレハブ住宅では、骨格材肉厚3mm(実際は2,3㎜)以下の法定耐用年数は19年。4mm(実際は3,2mm)以下の法定耐用年数

は27年と細かく分けている割には、木造住宅では集成材も無垢材も耐久性の高い大断面木造住宅も同じ22年としているのはどこかおかしいです。

 政府は、省エネ対策には熱心だけど、構造、耐久性、意匠、天然素材の使用にはあまり、関心がないようです。どこか、ハウスメーカー、建材、設備メーカーを保護しているようにしか思えません。

・木造住宅の法定耐用年数 

 建物の法定耐用年数(2008年改正)が設定されています。建物の法定耐用年数は構造によって下表のように設定されています。法定耐用年数は、耐久年数とはイコールではありませんが、不動産市場では、いくらお金をかけたからといってもその期間を超えると減価償却資産価値はゼロ近くになっていて、住宅ローン返済が終わったころには、いくら構造体が丈夫であったとしても社会の変化とともに生活スタイル、デザインや間取り、住宅設備機器の機能もかわり、これらの改装ができなければ、買う側のニーズに合わなければ誰も買い受けていただけません。

 買い手がいなければ、地価からさらに解体費用が減額されてしまうケースや場合によっては、更地にしないと売却できないというケースも多くあります。

 大断面木造住宅の耐久性は、古民家などが証明しているように100年、200年が当たり前です。この高耐久な大断面木造住宅の耐用年数を見直し、補助金でもつけない限りにおいては、真の意味で100年、200年住宅の増加は見込めないと思います。

構造法定耐用年数
木造22年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3㎜以下)19年
軽量鉄骨プレハブ造(骨格材肉厚3㎜超4mm以下)27年
重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm超)34年
鉄筋コンクリート造47年

*次の時代に備えて、今から木造大断面住宅の準備をしておくことも大切です。

ご関心のある方は、当所メールにて問い合わせください。

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出正廣