303号・住宅業界、25年は変化への対応  

はじめに

国土交通省公表の全国の新設住宅着工数(持家)は、24年11月度は65,037戸となり5か月連続での減少。2013年98万戸以来減少傾向で、年間見込も80万戸割れとなっています。

米国においても、住宅価格、住宅ローン金利ともに高止まり、23年5月1,631千戸をピークに24年11月1,289千戸まで減り続けています。年間見込みも140万戸割れの見込みです。トランプは誰もが住宅を持てるようにしたいといっているので就任後、住宅政策のテコ入れでそろそろ反転の時期かも。 

日本の住宅業界においては依然として住宅着工棟数は弱含む状況が続いています。経営面でも土地価格や各種建築資材価格、労働者不足から人件費の上昇、工期の長期化などへの影響も払拭されず、厳しい状況が続いているようです。

このような中、インフレに見合うだけの実質賃金は上がらず購買意欲が低下した結果、戸建住宅市場においては需給バランスの悪化から市場は供給過多の状況が続いているようです。住宅ローン金利も1月金利上げ予測もあり、販売環境は引続き厳しい状況が続いているようです。

ハウスメーカー11月公表の上期決算短信では、積水、大和、住林など大手は決算好調のように見えるが国内の住宅事業は苦戦していて、海外で稼いで帳尻を合わせています。この3社とも米国、オーストラリアの住宅会社の買収、提携などにより業績を伸ばしているが、今後は、各国インフレ傾向で住宅価格、ローン金利高止まりにより、今年は不透明感があります。

25年、トランプ政権下の日本では、規制緩和、関税の増額によるインフレ懸念から、ドル高、輸入木材価格の高止まりが懸念されているので、もうしばらくこの状態が続きそうです。

1月11日のロス火災1万棟焼失、被害額28兆円、阪神淡路9,6兆円でしたからその被害額の大きさがわかります。140万戸/年からすると1万戸は0,7%、あまり影響はないと思うが、住宅の構造体、針葉樹価格は一時的に上昇するかもわかりませんね。

飯田GH、タマホーム、ファースト住建、フジ住宅等、分譲住宅が中心の会社では、在庫住宅が積み上がり、3月決算に向け販売価格の値下げなどで資金回収を急いでいるので利益急減は避けられないと思います。

タマホームも前年同期比に比べて、42%減の大幅な減益となっています。

2025年、住宅工務店はどのように対応すればよいか

住宅工務店が今後どのように変わるべきかは、経済動向や株式市場、金利動向、社会の変化、技術革新、政府の住宅支援対策、市場のトレンド、顧客のニーズを考慮して、顧客の購買力に合わせた商品に対応する必要があります。

問題は、婚姻数の減少による人口減が明らかな中では、都市圏以外の地方では新築住宅の増加は期待できません。

以前から言っていますように分譲住宅にはリスクがあります。高額注文住宅にシフトすべきです。

2025年の干支は「乙(きのと)年」。乙(きのと「」がで「脱皮」を連想するとされているようです。調べてみると、蛇は「脱皮」を繰り返す生物であるため、古いものを捨てて新しいものへと生まれ変わる象徴とされています。構造や耐震、省エネや長期優良住宅などの性能等については、今や差別化でも特徴でもありません。「性能」から「感性」「感動」を得ることのできる住宅が求められます。その変化に対応できる工務店さんしか生き延びることはできません。

ただ、住宅購入に乗り遅れた顧客があることも事実です。しばらくは、徹底したローコスト住宅で乗り切ることもできます。

1・市場をよく見た対応が必要

景気が良くなると

・高所得者が増加し、消費者はより高額な住宅を選ぶようになります。

・今後さらに収入が増えるという楽観的な見通しが生まれ、より良い住環境を求める動機が強まります。

・高額住宅は、ステータスシンボルとしての側面もあり、これが需要を押し上げる要因になります。

・特に富裕層や中間層は、住宅に対するこだわりを高め、高品質な素材やデザイン、設備を求める傾向が強くなります。

2・ただ、ローコスト住宅の需要がなくなるわけではありません。

・景気が良くなると、高額住宅への需要が高まる傾向にあるが、ローコスト住宅の需要が完全に消えるわけではありません。

地方では価格競争が続き、ローコスト住宅が一定の需要継続の可能性もあります。

例えば、建築のタイミングを逃した顧客、慎重で、リスクを避ける傾向がある顧客。若年層や初めて家を購入する層では、ローコスト住宅を求める顧客があります。

対策

・住宅価格や金利が上昇し始めると、若い世代や低所得者では建築予算が縮小するので、仕様を下げたり、床面積を抑えたりする傾向が出てきます。

・住宅工務店としては、景気動向、顧客に合わせた柔軟な商品ラインナップを用意し、高額住宅とローコスト住宅の両方で競争力を維持することが重要です。

・その地域でローコスト住宅を供給する工務店が減少すれば、所得の低い層にとっての選択肢が失われるだけでなく、住宅市場全体が縮小するリスクがあるので、しっかりと市場動向を見極めて、その地域のニーズに対応した住宅を提供する必要があります。

3・顧客対策

・パーソナライゼーション

ハウスメーカーは、きめ細かい対応がむつかしいので、住宅工務店は、顧客ごとのライフスタイルや価値観に合わせた提案を強化することです。そのためには、提案力のある、営業、建築士やデザイナー、コーディネーターの育成、確保が求められます。

・透明性の確保

建築価格が上昇すると、顧客は相見積もりを取ったり、見積書をよく見るようになるので、見積明細書の価格や仕様の透明性を高め、信頼性のある見積もり対応を行う必要があります。

・デジタルツールの活用

VR/ARを活用した設計体験やオンラインでの打ち合わせの導入。この分野では、ハウスメーカーには太刀打ちできません。

*そこで、私のコンサル先で手作りの住宅模型などで差別化を図って成功している工務店があります。当所では、住宅模型の注文を受けています。別添より、申し込みください。

・社会貢献活動

SDGsの表明や地域イベントへの参加や、災害時の支援活動など、社会とのつながりを深めて、地域社会や環境への貢献を果たしつつ、持続的な成長を目指すことも大切です。この継続は、将来大きな信用につながります。

・ローコスト住宅の新しいモデル

標準化:ローコストに対応するためには、業務の標準化や設計施工の標準、共通化を進める必要があります。

小規模住宅: ミニマルな間取りで、必要最小限の設備に特化した住宅を用意しておくことも大切です。

人の行かぬ裏道に花道あり」他社が高額化している今こそ、ローコスト住宅で勝負するというのも受注対策になると思います。

・環境配慮型素材の活用

再生可能資源や環境負荷の少ない建材を積極的に採用する。ハウスメーカーの住宅は、工業化製品を大量に使用している。対して、地元工務店の強みは地産、地消で自然素材の活で差別化できます。 地元の素材や職人を活用し地域経済に貢献することで注目を受けることがあります。

4・中古住宅市場の開拓

受注が厳しいときには、リノベーション事業を強化し、中古住宅を活用した住まいづくりを推進することも大切です。中古物件を安価に購入し、リノベーションして販売するというのもいかがでしょうか。

・リフォーム受注の強化: ハウスメーカーのリフォームは、経費率40%以上、しかもオリジナル建材を多用しているので、リフォーム費用が工務店の2倍近くになっています。リフォーム見積もりの仕組みをしっかり説明すれば信頼を勝ち取ることが出来きます。ハウスメーカーにはできないきめ細かなサービスで長期的なメンテナンスプランやリフォームサービスを提供し、信頼関係を継続的に築くことも大切です。

以上

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣