309号・リフォーム業者からリノベーション業者への転換
・ハウスメーカーの弱点は、住宅工務店のリフォーム工事代金の倍額
ハウスメーカーの住宅はオリジナル構造体にクローズド部材、建材であるため、数十年後修理やリフォーム、リノベ、増築の際に一般の工務店では対応できない建材、部材を多く使用しているので対応がむつかしい。なので、施主は、建築したハウスメーカーに頼まざるを得なくて工事代金が高くなる。
また、長期優良住宅とか言って、居住者を定期点検で縛ってしまっているので、選択肢が無くなっています。定期点検時の有料修理、保証期間が切れたときの屋根、外壁、建具、内装、設備機器などの工事代金は工務店の工事代金の倍額(ハウスメーカーの営業利益率は45~50%が一般的)も当たり前となっています。
M社ですが、私の知り合いで足場をかけて、屋根、外壁の塗装依頼だけで650万円掛かったようです。教育費がかさむころにとても支払える工事代金ではないといってぼやいていました。とにかく、ハウスメーカーはますます高くなっているようです。
そういった観点から、オープン工法である工務店の木造住宅のほうが工事代金は抑えられるといえるでしょう。日本の住宅制度が、ハウスメーカーに優位なような政策となっています。ハウスメーカー排除のためには、このことをしっかり説明できれば競合に勝てるはずです。如何でしょうか。
それはそれとして、
・高額リフォーム受注には店舗が大切
2000年初め、レクサス戦略の営業所開設当初、トヨタショウルーム、他のメーカーショウルームとも一線を画したハイクラスのショウルームで展開を始めました。買う気がなければ入店できないようなオーラ―を出していて、お客様を選別していました。対応しているセールスマンもよく教育されており、それなりの応対とセンスの良い身なりをしていました。
購入する気のあるお客様は、負けじとばかりに虚勢を張って入店していたのを思い出します。つまり、高額物件を販売するためには、それなりのセンスのいいインテリアと安心感のある店づくりが大切です。
住宅の坪単価が100万円(付帯工事含)、35坪で3、500万円、土地が2、500万円、合計6、000万円を超えてくると、世帯年収で1、000万円以下では住宅の取得がむつかしくなっています。6、000万円以上の請負金額となると、工務店の事務所もそれなりに構えないと、入店さえしてくれなくなっています。それらに対応がむつかしい工務店さんは、リフォームやリノベーションに業態を変更するしかありません。
・リフォームかリノベーションか
リフォームに業態変更する工務店が急増しているので、価格競争が激しく特徴のないリフォーム業者の淘汰が始まっています。今後は、修繕、取り換えだけのリフォームだけでなく提案型のリフォーム、リノベーションの対応ができる工務店しか生き残ることはできません。
ところで、リフォームとリノベーションの違いは、一般的にはリフォームは、経年変化、劣化した内外の建具、建材、設備を新築に近い状態に回復させる修理、修繕、修復工事業です。
一方、リノベーションは、現状よりも性能、内外の意匠、設備の入れ替えによってより快適性の高い住まいに作り変える改修工事です。
そして、もう一つ、スケルトンリフォームがあります。「スケルトン」が「骨組み」を意味することからもわかるとおり、床、壁、天井をすべて取り払って、躯体のみの状態にして、外観、間取り、設備機器の配置換えなどに造り変える大掛かりな工事です。プレハブ住宅や木造住宅では構造的に限界があるので、どちらかというとマンション改修工事で採用されています。
というのも、木造住宅やプレハブ住宅では耐久性や構造的な問題、法定耐用年数という資産価値の評価から、エクステリア、インテリア、間取りの改変等の大規模なリノベーションをしても改修の費用に見合わないケースが多いので、修理、修繕リフォームで済ましてそのまま使用し続けるケースが大半で、解体されてしまう住宅が大半だからです。
・法定耐用年数で資産価値は半減
例えば、法定耐用年数(木造住宅22年)、構造的には50年近く耐久するとしても、30年もすればデザイン、間取り、生活スタイルも時代遅れとなり、不動産仲介業界での資産価値はほぼゼロ近くで評価されます。場合によっては、中古住宅があるというだけで土地だけの相場価格からさらに解体費用分を差し引いた価格で取引されているのが現実です。
なので、壁、天井クロス、床材張替え、キッチン、バスユニット、トイレ、洗面化粧台を取り変えたとしても、リフォーム済として少し色を付けた価格程度としてしか中古住宅市場では流通しません。
ましてや、30年を超えた住宅は、構造体の資産価値はゼロに近いので、スケルトンリノベーションするとなると、その時代の新築工事価格の50%以上の費用が掛かるといわれていて、中古住宅を購入してスケルトンリフォームにお金をかけるくらいなら新築住宅を購入したほうがメリットあるとなって、日本ではスケルトンリノベーションは流行らないといえます。
ただ、スケルトンリノベーション工事をする価値があるのは、地価が高いか、高額マンションでその工事代金の3倍以上(例えば、工事代金2、000万円x3倍=6、000万円以上)の価値でも流通できる高額中古住宅、マンションくらいでしょう。
■リフォーム業界の改革を提案
日本でのリフォーム業界は、「修理・修繕」といった業者が多く、デザイン性や新しい価値を生み出すリノベーションに対応できる設計士やインテリアコーディネーター、デザイナーが育っていないという課題があります。修繕(リフォーム)からもう少し、デザイン性も考慮したリフォーム業者の育成が必要です。
例えば、
1・若手建築士・デザイナーの採用、育成促進
・ 「リフォーム=ダサい・安い仕事」というイメージを変え、リノベーションを通じた新しい価値創造 を打ち出す必要がある。
・クリエイティブなデザインやモダンな改修を手掛ける機会を増やす。
2・リフォームの「リデザイン化」
・単なる修繕からデザイン・間取り・性能・機能を再構築 する考え方を広める。
・欧米のように「長寿命化+美しさ」を両立させるリフォームを推進する。
3・施工技術と職人の育成
・「修繕屋」から「デザインリフォーム業」への変革 を促す。
・若手職人の育成や、最新の建材・デザイン技術を学ぶ場を整備する。
・職人さんも含めてデザイン感性の育成が必要。
4・耐久性向上のための基準作り
・リフォーム前に住宅の長寿命化が可能かを診断する仕組みをつくる。
・投資する価値のある物件と、解体・建替えが適切な物件の選別眼を育成する。
5・市場の啓蒙とリノベ文化の確立
・消費者側も「新築志向」から「既存住宅の再生・リデザイン」へ意識を変えていく必要がある。
6・リフォームの概念を変えないと、この業界はいつまでたってもコスト競争で自滅する。
今のままだと「安さ」でしか差別化できず、結局は消耗戦になってしまいます。
リフォームの概念を「修繕」から「価値創造」へシフトできれば、業界全体のレベルアップにつながるはずです。
例えば、「この家をリノベーションすれば、資産価値が上がる」 という発想が当たり前になれば、施主も単なるコストではなく 投資 としてリフォームを考えるようになるかもしれません。
業界全体の意識改革には時間がかかるかもしれませんが、今からでも成功事例を積み上げていけば、必ず流れは変わるはずです。
7・日本では、リフォーム、リノベ業者に法的資格が必要ないのでお客様も設計料を支払うという概念がないことにも問題があります。
・日本ではリフォームやリノベーション業者に特別な法的資格が必要ないため、設計やデザインの質にバラつきがあり、施工のレベルもピンキリなのが現状です。さらに、「設計料を払う」という概念が根付いていない ことが、リフォームの価値を低く見られる要因」になっていますね。
8・設計料の適正化と標準化
・「リフォームにも設計料がかかるのが当たり前」 という意識を広める。
・例えば、建築士が関与したリノベーションには一定の設計料を設定するなど、適正な料金体系を業界全体で共有する
・欧米のように「デザイン+施工」をパッケージ化し、設計の価値を正当に評価する仕組みをつくる
9・リフォーム&リノベーション業界の資格制度の整備
・設計、デザインに関する一定の資格を持つ業者に対し、法的な基準を設ける。
・現在、日本のリフォーム業界は「建設業許可」がなくても参入できるため、最低限の専門資格を義務付ける制度 を検討する。
・例えば、リフォーム設計士やリノベーションプランナーのような専門資格を標準化 し、施主が信頼できる業者を選びやすくする。
10・消費者教育と市場意識の向上
・新築だけでなく「リノベーションを前提とした住宅選び」を一般化する。
・「リフォーム=安く済ませるもの」ではなく、「リノベ=新しい価値をつくるもの」と位置づける。
・施主自身も設計の重要性を理解できるよう、情報発信を強化。
こうした取り組みが進めば、リフォーム業界が単なる「修繕ビジネス」から脱却し、「デザインと価値を生み出す市場」へと成長できそうですね。
リフォーム業界の革新には、 「修理」から「価値創造」へ、そして「価格競争」から「デザイン・品質競争」へ のシフトが不可欠ですが、そのためには 市場の意識改革 も必要です。
以上参考になれば幸いです。
ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣