317(特別号)・トランプの1セント硬貨廃止はデノミへのサイン?
トランプが1セント硬貨をなくすといっていましたが、これは将来、事実上の幣貨切下げ(デノミネーション)を示唆しているのではないでしょうか。アメリカが1セント硬貨廃止となれば、日本も1円硬貨廃止(どちらも製造赤字)となるでしょう。そうなれば事実上のデノミですよね。
世界市場の通貨の桁が一桁も二桁も大きすぎますよね。例えば、米国の国家債務はすでに34兆ドル(5,100兆円)を超えており、日本でも政府債務は1,250兆円以上です。東京プライム株式市場だけで1,000兆円前後で推移。現在の世界市場の資産規模は驚くほど巨大で、日本円の単位では桁が大きくなりすぎています。通過の数値は非常に大きくなっており、1兆円の桁は0が12コ+1=13桁となり、そこに1,000をかけるともう訳が分かりません。卓上の計算機では単位の間違いとなりかねません。
世界的にさらにインフレが加速すると、いずれデノミの可能性が話題になると思います。
・デノミとなれば、不動産、株式、金融市場はどんな影響があるのでしょうか?
デノミが行われると、基本的に名目価格が縮小するだけで、実質的な価値は変わりませんが、経済的・心理的な影響は大きい。
*調べてみると、以下のようなことが考えられます。
1・不動産市場への影響
・短期的な混乱:価格が新しい単位に変換されるため、契約書や会計処理に混乱が生じる可能性があるようです。
・資産価値の再評価:過去のデノミ事例を見ると、不動産価格は調整を経て実質価値が維持される傾向があるようです。
・心理的影響:不動産価格が「安く見える」ことで、購入層が増える可能性もあります。住宅業界では、住宅価格を1桁下げるだけで5,000万円が500万円となりやすく感じられるので購入者が増えるかも。
2・株式市場への影響
・名目株価の調整:例えば、現在10,000円の株が100円に切り下げられる。
・投資家心理の変化:デノミは経済の安定化措置として捉えられる場合と、経済の混乱の兆候と見なされる場合があるようです。
・流動性の向上:デノミ後に株価の絶対額が下がることで、売買が活発になる可能性もあります。
3・金融市場・国債への影響
・インフレとの関係:デノミはインフレ時に行われることが多く、実質的に「貨幣の購買力低下」を伴う可能性がある。
・金利への影響:デノミ後にインフレ期待が高まれば、中央銀行が金利を引き上げる可能性がある。
・国債の実質価値:デノミは名目的な調整であるため、国債の価値自体は変わらないが、インフレによる実質価値の低下が起こる可能性がある。
■デノミを実施した場合のメリット
・日常的な金額計算が簡単になる(特に大きな数字を扱う時に便利)
・国際比較がしやすくなる(1ドル=150円ではなく、1.5円のように分かりやすい)
■デノミのデメリットや課題
・貨幣や紙幣の変更コストが発生する:ATM、レジ、会計システムの全面改修。
・一時的な混乱:企業の財務処理、契約書、価格表示などの修正が必要。
・心理的な違和感:資産や給与が「少なく見える」ことで不安を感じる人が増える。資産を増やそうと頑張る人が多くなる。
■デノミは実施されるか
過去にトルコ(2005年)やフランス(1960年)で桁が大きくなりすぎた通貨を整理するためにデノミを実施した国もあります。日本でも1980年代に議論されたことがあったがバブル崩壊で消沈していますが、インフレ率が高くなるとその議論が高まる可能性がありそうです。
ただ、将来を俯瞰してみると、キャッシュレス決済が普及し、カードやスマホで決済。現金を使う機会は減ってきています。デジタル通貨(CBDC:中央銀行デジタル通貨)の導入も議論されていますし、いずれは貨幣が不要になる日も来るかもしれません。
とはいえ、それが実現するには技術的・社会的なハードルもあるので、まだしばらくは現行の貨幣制度が続きそうです。
ただ、このような政策は話題になる前に突然実施される場合が多いので、頭の中には入れておいた方がいいでしょうね。
ご参考まで。
2025・3・9
ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣