333号・浸水地域は災害対策として道路面より基礎高さを60センチ以上の高さにするべきです。

 288号・24年8月8日でもおしらせしていますが、再度のご案内です。近年、台風や集中豪雨等による水害が頻発しており、短時間で河川の増水で堤防を越えて甚大な被害が発生する事例が増えてきています。各自治体は河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域及び浸水した場合に想定される水深については洪水ハザードマップで公表しています。あらかじめ知っておくことが大切です。

 台風シーズンになると、日本全国あちこちで床下、床上浸水が発生しています。ニュース、映像で見ていると大半があと10~20センチ基礎が高ければ床上浸水にはならなかったのにと思う建物がたくさんあります。

 河川の堤防よりも低い地域や窪地は別として、一般的には、道路面よりも床上面を70センチ以上高くしていれば、大方は床上浸水とはなりにくいです。というのは、河川が氾濫しても水は道路表面から周辺全面に広がるので、よほどのことでもない限り、50センチを超えることはありません。これだけで大半の住宅では床上浸水をさけることが出来ます。

道路面より基礎高さを60センチ以上高くしておくことが大切

 建築基準法ではGLから床上面までの高さを45センチと決められていますが、これでは、床上浸水が免れたとしても、床下面には土台やグラウウールなどの断熱材が張り付けられています。断熱材が濡れてしまっては断熱効果や放置すると腐れやカビ発生の原因となってしまいます。

下図のようになっています。

 基準法の目的は床下での作業や点検に必要な30センチ以上と規定されている為です。現実的には、床下30センチでは、作業や点検は、業者の人でも大変、家主や一般の人ではほぼ不可能に近い高さです。あと20センチ高くして50センチ以上とすれば、これらの作業もしやすく、床上浸水も減らすことが出来ます。

住宅会社は、なぜ高くしたがらないのか。

 住宅会社は、建築基準法がそうなっている事と基礎の型枠60センチが規格化されていて、コスト、作業性が良いからです。また、バリアフリー、斜線制限や建物の高さの規制がある事も要因となっています。

 浸水地域では、毎年同じことが繰り返えされているので基準法を見直すか、特定行政庁が行政指導するべきです。

その原因は

1・建築基準法ではGL+床面高さが45センチ以上

2・長期優良住宅では基礎高さGL+40センチ、床下空間33センチ以上と規定。

3・その寸法に合わせて基礎型枠が施工上、コスト面から寸分違わずどこもかしこも型枠高さ60センチという事になっています。

4・基礎を高くすると、標準の基礎型枠が使用できなくて割高になる。

5・特に市街地では、道路車線に北側車線などの高さ制限も影響しています。

6・また、バリアフリーを強調するあまり、道路と玄関ポーチの段差を小さくする

ことがバリアフリー対策のようになっています。

床上浸水をさけるために、旧地名でも昔の土地の情報を知ることもできる

「水、川、河、橋、池、湖、灘、浮、沢、谷、坂、浜、杭瀬、須、荒、流、洗、浅、田、窪」といった字のつく地域は軟弱地盤であったり、水を呼び込む場所、池や、湖、海岸、田んぼであったりするので注意が必要です。数年前には大都会東京でも渋谷、赤坂で浸水被害がありましたよね。皆さんの地域でも思い当たる地域があるはずです。

 旧市街地では、特に床上高さを十分に検討することが大切です。住宅会社に何も伝えなければ、標準仕様の基礎高40~45センチとなってしまいます。

 反対に、地盤のしっかりしている地域では「台、高、里、山、丘、森、峠など」といった地名の場所は、比較的地盤がしっかりしているといえます。戦後開発された住宅地域やニュウータウンといったところは、これらのところが多いといえます。

 ただ、そうした地域でも、盛土、切土、地下表面近くに空洞があったりするので、地盤調査は必要です。

 住宅会社は、施主宅の洪水時の被害を最小限にするためには、平時より水害リスクを認識したうえで氾濫時の危険箇所や基礎高さなどの対策方法を講じてあげることが大切です。ところが、営業マンは売ることしか考えていないので、何でもかんでも標準仕様にしておけば、責任もなく早く契約できるので余計なことは提案したがらないのです。

 なので、地元のことがよくわかっている工務店は、これらのことをしっかり説明してあげることでハウスメーカーと差別化できることと思います。そのことによって床上浸水の被害が出なければ感謝されるときがあると思います。

 半面、地盤補強工事は金額も売り上げ、利益ともに大きく計上できるので、熱心に取り組むが、浸水対策については行政もハザードマップを作成しておきながら住宅会社任せ。どこか、浸水対策に熱心な住宅会社があってもいいのではとおもいます。

2025・8・16

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣