この夏秋は、住宅購入計画のある人は生涯で最後のチャンス。
目次
1・世界的に資源高、インフレ、金利上昇傾向から客層が変わる。
・金利上昇で住宅着工数は減じるか
・消費形態が変化する
・本物の住まいとは
・勝ち残るために
2・家を建てる計画のある人は、生涯の中で最後のチャンス。
3・住宅工務店さんは、ここは値上げを辛抱して受注を増やす努力を。
・住宅価格の推移
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1・世界的に資源高、インフレ、金利上昇傾向から客層が変わる。
日本では、金利を上げることが出来ない事情(日銀の国債保有残高581兆円分は利息免除としても、残600兆円分の利息は発生、単純計算では利息1%で6兆円、2%で12兆円発生、軍事予算約7兆円どころではなくなる)があるとしても、これだけ日米欧の金利差が大きくなってくるといずれ(インフレ率が4%を超えると、この秋ごろ)上げざるを得なくなってきます。
金利が上昇し始めると銀行も審査が厳しくなってくるので、客層も若い世代、低所得者から中間世代の中所得層へ変化していきます。この中間世代は、比較検討、分析能力が高いので、理性的な判断をします。なので、納得しなければ買わないという難しいお客様に変化していきます。
住宅業界は、円安、ウクライナ問題、さらに、今年は世界的な異常高温による自然発火による森林の減少等でしばらく、輸入建材、建築コストの上昇、金利上昇を見込んだ、駆け込み需要が続きそうです。問題は住宅ローン金利上昇が現実的になったときです。
・金利上昇で住宅着工数は減じるか。
70年代のことを振り返ると、73年180万戸をピークに83年120万戸まで一度減じてから、85年ごろから金利上昇(5~8%)とともにバブルに向かって90年170万戸まで増加、バブル崩壊後09年77万戸のボトムまで減じ続けました。その後、今日まで80~90万戸で推移しています。
実は、前述のようにバブルが崩壊するまで金利上昇とともに住宅着工数は増加しています。ただ、当時と異なるのは、金利上昇以上に不動産の値上がり、株価の上昇、旧市街地の地上げ、含み資産増加による買い替え、団塊世代の住宅購入、銀行の貸付競争などがあったという背景がありました。なので、住宅購入者も土地成金、高所得者であったという事もあり、高額化、高級住宅が求められていきました。
当時と違って少子化、東京都心部を除いて不動産バブルは起きていません。なので、金利上昇、インフレで住宅を購入する人が減じるとしても高級化、高額化により売り上げ、営業利益はむしろ上昇すると思われます。
ただ、金利上昇、インフレでも住宅を購入できる人たちの客層が中間層、高所得層へと変わることには間違いないといえます。この変化する客層に商品、サービスがリードしていけるかどうかにかかってくると思います。
・消費形態が変化する
住宅業界は、コロナ後の住まい方の変化、若い世代から中間世代、高所得層、高額住宅へと経営の変化(チェンジ)が求められていきます。
コロナ後の新しい時代が始まろうとしています。こうした大きな変化が起こる時は、消費者の価値観や、ニーズ、購入世代、所得層も大きく変化します。これらの変化に対応できることが大切です。
では、住宅業界は、どのように変化していくのでしょうか。これは、90年当時からの私の持論ですが次の時代を予測するために、過去の消費形態を分析してみると次のようになります。
・1965年から1975年は、ただ家が欲しいという欲求消費の時代でした。
・1976年から1986年は、住まいの性能・構造を比較して良い住まい、悪い住まいというように理性で判断して購入する理性消費の時代でした。
・1986年からバブルが崩壊した後92年ころまで性能とか構造よりも企業、商品のイメージ、デザイン、差別化、アメニティといった感性で選ぶ感性消費の時代でした。
そして、バブル崩壊以降は、行き過ぎた高額住宅の商品開発から原点に戻ったコスト追求の時代となり、消費が低迷するなか、ローコスト型住宅が主流となりました。一方で、建築家、設計事務所による個性的な住宅も増え始めました。建築家とのネットワーク化で07年設立、13年に株式公開したアーキテクトスタジオジャパンなどが目立つようになってきました。
反面、苦戦中のハウスメーカーは、住宅本体部分でのコストダウンには限界があり、本来の住まいとは関係ないところのソーラーやエネルギー設備、省エネ仕様や設備、ハイテク技術などを付加した商品を組み込み、売上や利益を確保すると同時に差別化を計り生き残ってきました。
しかし、これらは一過性の事であり、いずれ落ち着きを取り戻し、景気が本格回復し始めるころには、本物の住まいが求められるようになります。それは、高耐震、高耐久、高断熱、高気密といった性能、省エネ、創エネ、エコ、スマート住宅、低炭素住宅、保証制度といったことが当たり前となり、住むことによって新たな喜び、豊かさ、満足感を得ることのできる感動型の住宅です。
本当に消費者が求める「付加価値とは何か」「質とは何か」「オリジナリテイとは何か」「豊かさとは何か」が問われるようになります。
これまでは「良いか悪いか、安いか高いか、構造、性能、AM保証はどうか」が欲求消費者、理性消費者の判断基準の多くを占めていましたが、これからは感性が合うか、合わないかが、より大きな比重を占めるようになります。 被対面販売が定着するとお客様は、住宅会社のWEBを見て、自分の感性に合う会社を選んでくる時代になってきます。 価格か、構造か、性能か、デザインか、住まいを通じて生涯お付き合いのできる会社か、会社の特徴をはっきりと打ち出す必要があります。何でもやっていますでは、お客様は来ていただけなくなります。
・本物の住まいとは
景気が回復してくると、物が溢れ、安ければよいというものでもありません。偽物は排除され本物しか生き残れない時代が来ると思います。
まず、住宅の特徴で別けると
➊省エネ設備などの性能、保証等を重視する住宅」
➋「天然資材、地産地消、健康住宅、自然エネルギーの活用、エコなどを重視する住宅」
➌「デザインや意匠、住まいの豊かさ快適性を重視する住宅」
に大きく分けられます。
➊は特徴ではありません。次に➋の天然資材、地産地消、健康住宅などに特化した住宅は、ハウスメーカーには対応が難しいので、これらへの対応はしばらく優位に展開できます。少しの知恵や努力をすれば中小の住宅工務店でも対応できます。
なによりも、難しいのは、➌のデザインや意匠、住むことによって新たな喜び、豊かさ、快適性を感じて頂くような感動住宅です。これは、相当の経験者、住宅の本質の分かる人にしか設計できません。この人材をいかに確保できるかがこれからの差別化、生き残る条件になると思います。
・勝ち残るために
これからは、お客様の課題を適切に判断することが大切です。資金だけでなく、税金対策、資産の活用などのアドバイス、提案のできる専門知識の高い営業コンサルタントと、お客様の多様なニーズ、要望をしっかりと聞き取り、住まいの設計ができる経験豊かな設計士、コーディネータ―、デザイナーのいる住宅会社が求められてきます。なによりも、これからの住宅購入世代は、30歳代から40歳代へ。低所得層から中所得層へと変化します。この世代は学歴、知識レベル、情報分析能力が高いので、比較、検討したうえで、理性で判断できる人たちです。したがって、営業者のテクニックや満足感、熱意や誠意、会社の看板だけでは売れない時代がやってきます。そういうお客様には、営業と設計のペア営業という事も視野に入れておくべきだと思います。
私事ですが、バブルのころ、高額物件のお客様、デザインを求めてくるお客様には、営業によく連れていかれました。その時のおかげで、お客様のニーズをつかむのがうまくなりました。
2・家を建てる計画のある人は、生涯の中で最後のチャンス。
三十年前、私が知っているバブル前後の住宅ローンは、固定型で5~8%が当たり前でした。現在は、2%前後、それでも他銀行が0,1%高いとか、低いとか言っている場合ではなくなってきています。インフレ傾向は間違いなく、世界的に金利は上昇し続けます。株式も、金利も一度上昇し始めると、多少上下しながら破裂【過去の経験値からすると住宅ローンで見ると米国では、87年ブラックマンデー時8%、08年サブプライムショック住宅ローンは7%前後、日本でも89年バブル時8%。このように8%に近づくと経済は危険水域】するまで上がり続けます。逆に、日本では金利はこれ以上、下げることはなく、今借り入れをしない方がリスクがあります。
家を建てる計画のある方は、値上がり傾向があるとはいえ、まだまだ低い建設価格、百万円、二百万円の値上がりは大した金額ではありません。ご承知のように三千万円借り入れ、三十年、ボーナス返済無しで金利1%の上昇で総額約五百五十万円返済額が増えます。この低金利、最後のチャンスを生かして、理想のマイホームを実現するための最後のチャンスだと思います。
また、住宅購入を予定している人は、固定金利がお薦めです。というのは、毎月の返済額は一定額。今後、給与が上がり続けるとすれば、返済負担が楽になっていきます。
3・住宅工務店さんは、ここは値上げを辛抱して受注を増やす努力を。
暫く住宅価格は上昇を続けると思います。この上昇に便乗して値上げしていくと、結局のところ、自社の首を絞めることになります。何故なら、あちこちの住宅会社で値上げが始まるとお客様は様子を見始め、買い控えが始まってしまうからです。今でも忘れませんが73年石油ショックがありました。石油関連商品だけでなく住宅までも便乗値上げが始まり、お客様は買い控え、結局のところ、受注が減じて、大手住宅会社(永大ハウス)、デベロッパー(興人)、多くの中小工務店が倒産に追い込まれました。
ここは、しばらく便乗値上げの我慢が必要です。他社と同じように値上げをすると、同じように受注が減るだけです。まず次の時代に備え、それまでは、極力価格を抑え、多少のリスクは覚悟の上、受注を増やしておくことが大切だと思います。
4・変化の時代こそ、新しい視点で商品開発
この時、ミサワホームは逆に、値上げどころか、技術革新住宅とし16坪/百万円住宅を発表、大量に受注しました。他社が値上げをしている中で引き続き、O型、M型、S型の工業化/施工効率を高めた大型パネルを推進/大工工事の省力化によりコストダウン。他社と同じ金額で一部屋多い企画住宅を販売、お客様にとってバリュウ価値のある住宅を提供し続けて、この時大きく成長しました。その後は、大和や積水などの軽量鉄骨住宅にはまねのできない寄棟、片流れ、スキップフロア(写真は72年ミサワ私の設計)等、フリーサイズ商品としてデザインの差別化、高額住宅にシフトし、バブル崩壊まで業界をリードしてきました。
そして、バブル崩壊。急激な変化に対応できず倒産、廃業、統廃合が行われました。皆さんご存じのとおりです。それらのことを予測出版したのが著書「97年発売、住宅業界BIG BAN」です。自慢ではありませんがその通りになっています。
5・住宅価格の推移
2011年を100とすると、コロナ前の20年1月には117、5%まで上昇、その後も上昇を続け22年3月の建築工事費は 134%まで上昇しています。つまり、約 10 年前の坪単価が 60 万円なら現在は約 80 万円ということになります。ハウスメーカーだけで見ると 坪当たり100万円が相場となっています。
坪100万円となると、知らないうちに客層は30歳代~40歳代の中間所得層に変化しています。こうなると、40歳代のニーズ分析、対応が望まれます。
*以上は、私の経験値ですので、ご参考まででお願い致します。
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