283号・このままでいいのか木造住宅
国産材活用でCO2削減
戦後、植林事業の推進で日本の森林率は67%と世界でもトップクラス木の国です。その蓄積量は1966年時の約3倍の55億㎥(2023年5月公表森林白書)、国内使用料の60年分に相当します。自国の森林資源に対する年間の伐採量は、最も高いアイルランドが4、3%、日本が0、5%(林野庁03年・4月公表値)で最も少ない国となっています。それでも大半を輸入材に頼っています。
木材の輸入には輸送コストのほかに二酸化炭素排出の環境問題があります。例えば、木造住宅38坪の木材輸送過程におけるCO2排出量は?
・国産材を使用した場合496kg-CO2(国内輸送距離平均238km)を排出。
・すべて欧州材を使用した場合4,249kg-CO2(輸送距離21,424Km)となり、国産材使用の≒10倍近くのCO2を排出していることになります。
(引用:一般社団法人ウッドマイルズフォーラムより)
すべて国産材使用とは出来ないとしても、構造体くらいは国産材を使用することによってかなりの二酸化炭素削減ができます。
良質な国産材を活用
日本には四季があり、国産針葉樹は春夏で成長、秋冬で木が締まり、ゆっくり育ち強度の高い木が育っています。年輪の柔らかい部分が成長期で濃く見える部分が休眠期、この柔らかい部位の幅が狭く密なほど強度が高いといわれています。
半面、北米、北欧の輸入針葉樹は雪解けと同時に一気に成長します。このため、柔らかい部位の幅を比べてみると輸入針葉樹の幅が広いことが一目瞭然です。
つまり、国産針葉樹の年輪のほうが狭く密に詰まっていることから強度が高いことがわかります。
また、同じ気候風土で育った木を地元で使うのが理想的です。昔から家を建てる材木は、地域で育った木を使用することが原則でした。同じ場所で建築されるとなれば木が受ける気候風土の条件は変わりません。さらに、棟梁が良い木を見極め、更に北側で育った木は北側に、南側で育った木は南側というように、使用する方角も合わせていました。現在では、そこまでは難しいとしても地産地消は十分可能です。
戦後、植林された杉、桧など森林豊かで木材には困らない日本。ただ、構造体などに使用するためには良い木を育て、生育が悪い木、変形した木、立ち枯れ木などの間伐をして、光、風通しをよくする必要があります。
ところが、山が険しく、伐採、間伐しても搬出するための道路が整備されていなかったりするので、搬出コストが高くつき放置されています。そのため、山が荒れ、間伐されない森林木材は毎年増え続けています。
その点では北米、北欧の森林はフラットで針葉樹の成長も早く、品質(強度は国産材に比べて弱い)が均一化しています。しかも、重機で伐採、搬出道路も整備されていて安く大量に生産されています。そのため、大量調達が可能なので、日本では輸入材依存型になっています。
そうした時に、2021年のWOOD SHOCKに続き円安の加速、輸入木材が3倍近く上昇したこともあり、国産木材との価格差が縮小してきました。また、海外からの輸入となれば輸送コストにエネルギー消費、発生する二酸化炭素、地球環境問題から見てもいいわけありません。地産地消、掛け声だけでなく国産木材の活用についてもう少し冷静に考えてみる必要があります。
住宅の構造体に使用される柱になるためには、集成材で30年、無垢材で50年以上の樹齢が必要です。戦後植林された杉や檜が育ち50~70年の成木となっています。自国の森林資源に対する年間伐採量も前記のように最も少ない国となっています。これでは蓄積量は増えるばかりです。
森林の伐採は環境破壊という人もいますが、木の伐採そのことが環境破壊ではありません。伐採後は植栽「植えて育てる」、その木材の成長よりも早く消費すれば、森林の持続可能性が無くなり、環境問題に影響を与えるが、木という資源を持続可能な状態に持ってゆくためには、木が伐採されるまでの期間よりも住まいを長く使う事が大切です。
つまり、木を30年、50年で伐採するのであれば、それ以上の耐久性のある住宅を作れば森林は持続可能です。さらに、役目を終えた木材の再利用や再資源化することが出来れば石油、天然ガスに代わる「資源循環型社会」の実現が可能です。
次回に続きます。
2024・6・30
ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出正廣