284号・欧米では100年住宅は当たり前

283号の続きです。

英国にはこんな名言があります

「先代が家を建て、二代目が内装を整え、三代目が庭を造る」親子三代100年かけて邸宅を完成させる」。という名言があります。

なので、三代目以降は住宅資金を借り入れることもなく豊かさを享受しています。

欧米の住宅寿命(米国103年、英国141年)に比べて、戦後の木造、プレハブ住宅は30年。品確法、長期優良住宅推進政策により、住宅寿命が延びつつあるとはいえ、欧米に比べるとまだまだ短いと言われています。

リフォームとメンテナンスの違い

欧米では生活を豊かにするために建物の一部または、全体を改装し、機能性や美観、生活の豊かさを向上させるための大規模な作業を指します。

日本では耐久性維持、修理、古くなった設備機器の取り換えのためのメンテナンスなので、とてもリフォームとは言えません。

しかも、30年維持するためだけに、日経新聞22年8月26日の記事によるとシロアリ、給湯器、給排水管、屋根、樋、防水、外壁の修理だけで930万円かかる、しかも「キッチンや、洗面、トイレ、UBは含まれていません」という試算があります。これらの修理をしないとハウスメーカーの保証を受けることが出来ないシステムとなっています。

  

この件はともかくとして、実は戦前までは日本でも数代にわたって住み続けられていた住宅は数多くありました。古民家でなくても地方に行けば、今でも100年、200年住宅は当たり前のように存在しています。

建築基準法もない時代、大工、棟梁の経験と伝統的な工法、技術で建てられています。構造計算もしない時代、多くの地震、風雪にも耐え、生活スタイルの変化にも対応して住み続けられています。このころの住宅のほうが長期優良住宅といえるかもしれません。

古民家は甦る

日本の住宅の寿命が短くなったのは戦後からのことです。戦前に建てられた古民家や住宅は100年、200年経年した今もまだまだ日本には多く残っています。近年、地方では外国人によって使い込まれた構造体、建具などを生かした形で改装し住宅、民泊などに再建して古民家は甦っています。仮に解体されたとしても、その柱や梁が高い値段で売却されて都会の店舗などで甦っています。お客様もそれを見てどこか懐かしさを感じているのでしょう。

また、これら解体後の木材は先述のように再利用や燃焼エネルギーとなっています。それに比べると、近年の住宅は塩ビで覆われた建材が多用されているので産業廃棄物となって環境問題の原因にもなっています。

プレハブ住宅は古民家のように甦ることはない

日本初プレハブ住宅には、大きくは軽量鉄骨系と木質パネル系、コンクリートパネル系があり、いずれも60年代に発明、または開発された住宅をプレハブ住宅といっています。構法的には、軽量鉄骨工法、木質パネル工法、ユニット工法、コンクリートパネル工法があります。

当時、ハウスメーカーの住宅は住宅需要の急増に対応するため、大量供給を目的とした工法開発、工業化によって住宅を安価に提供することを目的としていたので、耐久性よりも品質の均一性、標準化、工期の短縮、コストの低減が目的だったので環境配慮、再利用という考え方はなかったように思います。

ハウスメーカーが最も熱心なのは、構造体をいかに小さく、薄く、軽く、施工性をよくすることによって利益を確保する。そのことが工業化の目的でもありました。

なので、構造強度は構造体保証期間内の耐久性となっていて、決して余裕のある構造体ではありません。

ただ、構造体の断面は最小に、いかに耐震性を強化するかの研究は熱心です。例えば、開口部の大きさや柱で囲う空間の大きさを制限したり、構造体を金物で補強、制震ダンパーなどの取り付けやオプションで免震装置の取り付けなどで対応しています。

長期優良住宅制度が導入されてからは、構造体の耐震性、耐久性に加えて、メンテナンス対応はよくなっています。

ただ、耐久性の観点からは、メンテナンスの有償点検の制度化(施主のメンテナンスの義務化により費用の負担が大きくなっています)などで耐久性を伸ばそうとしています。

ところで、仮に構造体が100年耐久したとしても空間の大きさに限界があるので、その時代のライフスタイル、設備機器の入れ替え、間取りの改変には限界があります。

また、今の流行を追ったデザインがその時代に対応できるかの問題もあります。

さらに、塩ビシートに石油系材などの新建材が多用されていて劣化していくばかりです。とても再使用できるとも思えません。なので、古民家のように甦ることは考えられません。

次回に続く。

2024・7・11

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出正廣