308号・トランプ政権下での住宅業界の影響は?

日本の住宅業界は、北米産構造体、合板以外はあまり影響ないと思います。考えられることは、米国の住宅市場が活況であれば、日本向けの木材価格は高止まりする可能性もあるが、もし米国の住宅需要が減速すれば、木材価格は下落し、日本の住宅業界にはプラス。

 最新ニュースでは、トランプ発言で、ウクライナ戦争の停戦、終結に向けての可能性が出始めてきました。停戦、終結となればウクライナの復興需要が高まることで住宅建設投資が活発化すれば、北欧産の構造部材、建材が高騰する可能性があります。

 半面、ロシア産のエネルギー供給が安定することで、鉄鋼、石油由来の建材コストの低下が期待できます。

・プラスの影響

 また、トランプは、カナダに高い関税を発表しています。なので、カナダ産の木材は、米国の関税引き上げによって、米国に輸出していた木材を日本市場に安く流てくる可能性。

円安基調が続けば、米国市場に進出している積水、ダイワ、住林への住宅設備、建材の供給が増えるのでのTOTO、LIXIL、YKK APなどや木材加工品の輸出が有利に。

中国製の建材(フローリング、家具、太陽光パネルなど)を輸入している住宅会社にとっては、米中対立の影響で、日本への供給が増加するので安く購入できる可能性。

マイナスの影響

 原油価格が高止まりすれば、石油由来の建材(断熱材、塗料、プラスチック製品など)、鉄鋼、アルミ価格上昇の可能性もあるが、トランプは、国内の石油を掘りまくれと言っているので、26年にはむしろ、価格が下がる可能性のほうが大きい。

・結論として、

国内市場中心の住宅会社にとっては、極端な円安にならない限り構造体である木材、合板にはあまり大きな影響はないように思います。

むしろ、国内の職人不足、インフレ傾向、住宅ローン金利上昇のほうが大きな影響があります。

追記

国土交通省総合政策局令和7年1月31日(金)住宅着工数の公表がありましたのでご参考まで。

1.総戸数

・令和6年の新設住宅着工戸数は 792,098戸。前年(819,623戸)比では-3.4%となり、2年連続の減少。

・新設住宅着工床面積は 60,869千㎡,前年比-5.2%,3年連続の減少。

35坪の家で≒2坪(4帖分)小さくなった感じです。22年のコロナ後は、在宅ワークで一時、2坪ほど大きくなっていましたが、さすがに住宅価格の上昇には勝てなかったようです。

2.利用関係別戸数

①持家 令和6年の持家は 218,132戸(前年比 -2.8%, 3年連続の減少)

②貸家 令和6年の貸家は 342,044戸(前年比 -0.5%, 2年連続の減少)

③分譲住宅 令和6年の分譲住宅は 225,309戸(前年比 -8.5%,2年連続の減少)

3・住宅業界、ダイワ、住林、飯田HG(10~12月)、セキスイ(2月~10月)、タマホーム(6~11月期)決算が公表されました。

 各社決算短信では、セキスイ、大和、住林など大手は決算好調のように見えるが国内の住宅事業は苦戦しています。この3社とも米国、オーストラリアの住宅会社の買収、提携などにより業績を伸ばしているが、ともにインフレ傾向で住宅価格、ローン金利高止まりにより、今後は不透明感があります。

 また、トランプ政権下では、規制緩和、関税の増額によるインフレ懸念から、ドル高、円安、輸入木材価格の高止まりが懸念されているので、もうしばらくこの状態が続きそうです。

ダイワハウス:国内の住宅市場における、2024年4月から12月の累計新設住宅着工戸数は、貸家が前年比プラスとなったものの、持家及び分譲住宅がマイナスしたことにより全体では前年比がマイナスとなった。

住友林業:住宅市場に関しては、国内では建設資材の高騰による建設費の上昇が続いたほか、政策金利引き上げに伴う住宅ローン金利の上昇懸念等により消費に慎重な動きが見られたことから、新設住宅着工戸数は減少した。米、豪での住宅投資はさらに強化したい様子。

セキスイ:第3四半期(2024年2月~10月)当事業の当第3四半期連結累計期間における売上高は3,431億1百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益は288億 8百万円(前年同期比9.5%増)となった。 国内での住宅事業部門は受注減少も高額住宅での売上、利益微増、国際事業、国内でのマンション等開発事業、仲介、不動産好調で24年度(1月~12月)は売上、営利2桁増で好調の模様。

飯田HG分譲戸建住宅の着工数は前年同期比で減少し、市中在庫量も減少傾向となっていることから、需給バランスは引き続き改善傾向にありますが、建築コスト高騰等による住宅販売価格の高止まりや 住宅ローン金利の上昇は、住宅取得マインドを低下させる懸念がある。

タマホーム:注文住宅の引渡棟数は2,574棟と前年同期比で26.8%減少しました。

*総じて言えることは、大手は国内の戸建住宅事業は受注戸数で減少も高額住宅の受注で売上、営利をカバーしている状態。

トータルでは、賃貸住宅、マンション、仲介、不動産、海外で稼いで、国内の落ち込みをカバーしている状態です。

分譲事業大手飯田GH(6社)では、次年度の展開に向けて、在庫処分中。一巡すれば25年度は積極展開の様子です。中堅のファースト住建、リヴワークは、売り上げ、営業利益ともに対前年比では、減少しています。

2025・2・17    ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出正廣