319号・リノベーション・スケルトンリフォーム業界の価値を高めるためリフォーム業界の改革が必要

 さて、住宅業界は、24年度新築住宅着工戸数も80万戸割れの79、2万戸(持家21、8万戸、分譲住宅22、5万戸(マンション込み)、5年連続の減少となっています。

 このような状況下で工務店では、戸建て住宅の受注が難しく、リフォーム受注で凌いでいる状況です。

 リフォームといってもクロス、床材の張替え、設備機器の入れ替え、屋根、外壁の塗装、修理といった修繕業にすぎません。リフォーム事業へのシフトも、単に業態を変えているだけで、設計ポリシー、特徴もなく価格だけの競争となっていて、差別化や顧客ニーズへの対応力にかけています。

 また、プライドの高い設計士や建築家という人は、高を括っていてリフォームやリノベーションを建築士の仕事としてみていません。カッコよさを求める若い建築士もリフォームをやりたがらない。

 入居者も木造住宅やプレハブ住宅では耐久性や構造的な問題、法定耐用年数という資産価値の評価から、エクステリア、インテリア、間取り改変等の大規模なリノベーションをしても改修の費用に見合わないケースが多いことを知っているので、修理、修繕リフォームで済ましてそのまま使用し続けるケースが大半です。その後は、土地代+建物は二束三文の価値、下手をすれば解体費用分を土地代から値引きされてしまう。このことをよく知っているので、誰もリフォームなどに投資しようとしません。

 半面、インバウンド効果で田舎のしっかりした構造体の古民家や、市街地での価値ある昭和時代民家のリノベーションで店舗や宿泊施設に生まれ変わっています。これらの建物のリノベーションには人気があります。

 ただ、魅力あるリノベーションの提案ができる建築士、専門家が不足しています。

 単なる修繕からデザイン・間取り・性能・機能などの付加価値を付けて提案できる専門士を育成する必要があります。

空き家住宅の増加対策

 今後さらに空き家住宅が増加の傾向です。これらの住宅の改修、再利用が社会的に大きな問題となってきます。それにも拘らず、これらの業界に専門的な建築士が育っていなくて、消費者の不信感があります。

現状の課題

  • 建築士は構造や法規の専門家であり、デザインや性能向上、改修工事の知識を持つ人はすくない。
  • インテリアコーディネーターは空間デザインには強いが、構造や耐震、断熱、省エネなどの性能向上には詳しくない。
  • 施工管理技士は工事管理の専門家だが、プランニング提案には弱い。

 ・工事依頼者から見て、リノベーションやスケルトンリフォームの見積もりに不信感があり、信頼できる業者の選択がむつかしい現状があります。

 ・日本でのリフォーム業界は、「修理・修繕」といった業者が多く、デザイン性や新しい価値を生み出すリノベーションやスケルトンリフォームに対応できる設計士やインテリアコーディネーター、デザイナーが育っていないという課題があります。

 また、悪質な業者排除という観点からも資格制度の創設も必要かもわかりませんね。

 ・日本ではリフォームやリノベーション業者は、建設業許可や特別な法的資格の必要がなく請負工事(建設業法上は500万円以下の請負工事(一式工事の場合は1,500万円以下または、延べ床面積150㎡未満の木造住宅は許可を取得しなくても施工可能)ができるため、設計やデザインの質にバラつきがあり、施工のレベルもピンキリなのが現状です。最低限の専門資格を義務付ける制度を検討する必要がありそうです。

今のままだと「安さ」でしか差別化できず、結局は消耗戦になってしまいます。

リフォームの概念を「修繕」から「価値創造」へシフトできれば、業界全体のレベルアップにつながるはずです。

 例えば、「この家をリノベーションすれば、資産価値が上がる」 という発想が当たり前になれば、施主も単なるコストではなく 投資 としてリフォームを考えるようになるかもしれません。

リフォーム業界の改革を提案

 日本でのリフォーム業界は、「修理・修繕」といった業者が多く、デザイン性や新しい価値を生み出すリノベーションに対応できる設計士やインテリアコーディネーター、デザイナーが育っていないという課題があります。

 修繕(リフォーム)からもう少し、デザイン性も考慮したリフォーム業者の育成が必要です。

例えば、

  • 若手建築士・デザイナーの採用、育成促進

・「リフォーム=ダサい・安い仕事」というイメージを変え、リノベーションを通じた新しい価値創造 を打ち出す必要がある。

・クリエイティブなデザインやモダンな改修を手掛ける機会を増やす。

  • リフォームの「リデザイン化」

・単なる修繕からデザイン・間取り・性能・機能を再構築 する考え方を広める。

・欧米のように「長寿命化+美しさ」を両立させるリフォームを推進する。

  • 施工技術と職人の育成

・「修繕屋」から「デザインリフォーム業」への変革 を促す。

・若手職人の育成や、最新の建材・デザイン技術を学ぶ場を整備する。

・職人さんも含めてデザイン感性の育成が必要。

  • 耐久性向上のための基準作り

・リフォーム前に住宅の長寿命化が可能かを診断する仕組みをつくる。

・投資する価値のある物件と、解体・建替えが適切な物件の選別眼を育成する。

  • 市場の啓蒙とリノベ文化の確立

・消費者側も「新築志向」から「既存住宅の再生・リデザイン」へ意識を変えていく必要がある。

  • リフォームの概念を変えないと、この業界はいつまでたってもコスト競争で自滅する。

設計料の適正化と標準化

リフォーム、リノベーション業者に法的資格が必要ないのでお客様も設計料を支払うという概念がなくサービス業務ということにも問題があります。

・「リフォームにも設計料がかかるのが当たり前」 という意識を広める。

・適正な料金体系を業界全体で共有することが必要です。

消費者教育と市場意識の向上

・新築だけでなく「リノベーションを前提とした住宅選び」を一般化する。

・「リフォーム=安く済ませるもの」ではなく、「リノベ=新しい価値をつくるもの」と位置づける。

・施主自身も設計の重要性を理解できるよう情報発信を強化する。

こうした取り組みが進めば、リフォーム業界が単なる「修繕ビジネス」から脱却し、「デザインと価値を生み出す市場」へと成長できそうです。

如何ですか。

2025・3・25

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣