322号・トランプ政権が目指す中国戦略
トランプ関税は、TV、新聞、マスコミ、経済ジャーナリストが報じているような単純な戦略ではありません。関税率を上げれば債券、株価は下がり、米国債が売られれば国債金利と市場金利が上昇、ドル不安から金価格は上昇、NYダウが下落したから、トランプはあわてて関税導入を90日延長したと、経済、金融ジャーナリストは、トランプは、ブレているとマジで解説しているようではもう話にならない。
米国にはノーベル賞を受賞するような政治、経済、金融学者が多くいて、研究機関を通じて想像できない程のいくつかのシナリオが用意されていて柔軟に対応しています。表の戦略と裏の戦略があり、我々が見ている世界は表向きの戦略で、その裏では、綿密な計算がされた戦略が進められています。
そのうちの一つが関税問題。その裏には、中国戦略を含めたもっと長期的な深い戦略があります。目先のことで右往左往しているようでは、政治家も経営者も失格。騒いでいるのはマスコミと国際音痴の政治家だけです。心配しなくても国際企業経営者は何が起こっているか理解したうえで米国企業と対応しています。
これは、ディール(商取引)なので、プラスとマイナス面があり、マイナス面を抑える新たなサプライチェーンが構築され世界はいずれ良い落としどころで落ち着きます。
私の調べではトランプ戦略の本質は
■表の戦略(見えやすい手段)
・関税強化(アメリカ第一主義)
・株、債券、金融商品、不動産の変動(経済コントロール)
・テクノロジー封鎖(対中規制)
・サプライチェーンの(脱・中国)
・米国製造回帰(設備投資)
米国は、かつての冷戦のように米中衝突を望んでおらず、むしろ 「経済的優位を保ちつつ、中国を新自由主義の構造に組み込む」ことを目指していると考えるのが現実的です。
| 側面 | 表の目的 | 裏にある深い狙い |
| 関税・制裁 | 中国を制圧し、米国産業保護 | 中国を“米国型ルール”に引き込む経済同化戦略 |
| テクノロジー封鎖 | 中国の軍事転用を防ぐ | 米国のルールを使わせ、統制不能な発展を封じ込める |
| 民間資本の中国進出 | 投資収益の確保 | 中国企業を資本参加でコントロールする意図 |
この視点に立てば、関税や制裁は交渉材料にすぎず、真の目的は長期的な経済体制の主導権争いということになります。「今、起きているのは経済冷戦であり、各国の対応能力が試されているといえます。
・平和的支配・・・戦争より「取引/ディール」「経済制裁」「通商圧力」による統治
・双務主義・・・条件をつけた同盟、無条件の軍事負担は拒否する
・国内産業重視・・・米軍支出より雇用・企業支援を優先(インフラ投資など)
・ドル覇権の維持・・・軍ではなく通貨、経済力で世界をコントロール
これらは比較的わかりやすく「攻撃的」「排他的」に見えるが、実は“裏”にはもっと長期的で巧妙な戦略があると考えられます。
■裏の戦略:米国流資本主義の“浸透”による経済コントロール
・ 「資本主義的ルール」への同化誘導資本による支配
・トランプ政権が中国の国家資本主義を敵視する一方で、本質的には中国の“近代国家化”(米国型経済への移行)を促 す戦略を取っている可能性があります。
■中国企業への資本参加という“逆流型の支配”
・すでにウォール街の一部ファンド(ブラックロック、ゴールドマン・サックスなど)は、中国株式市場や不動産企業に深く投資しているようです。
・トランプ的な「表の制裁」の裏で、米国は民間資本やルールを通じて、中国企業に深く関与しており、将来的には**“持株による統治”**を強化していく可能性も。
・イーロン・マスクがトランプ政権に参加しているのは、中国「BYD」への資本参加です。「BYD」の売り上げは、テスラを上まわっているが利益は薄利で赤字経営。
今の中国経済が続けば、いずれ資本不足に。テスラの資本参加が考えられます。
前号、トランプの思惑で書きましたように、トランプはウクライナ、ロシア戦争を見て一度戦争を始めると、お互いに疲弊するだけで得るものはない。終戦がむつかしいという事を学習しています。なので、米中という大国が衝突すると核を使えない戦争では、中国を軍事で制圧することはできないことを知っています。中国を制するために「経済秩序の主導権”を通じて新たな冷戦」を仕掛けています。
とはいえ、この関税戦略が失敗するケースを考えてみました。
■米国景気失速→金融破綻のシナリオ
- 関税でインフレ再燃
- 金利の高止まり
- 設備投資が重くなり資金繰り悪化
- 住宅ローンが上昇
- 過剰投資の反動で企業倒産・銀行不良債権化
- 信用収縮 → 景気後退 → 金融システム危機
*このケースは、1929年のNY大暴落を想像させます。
当時、米国は産業革命で沸いていたころ関税導入で所得税がゼロ、1914~1918年、第一次世界大戦で好景気に沸いていて設備投資やインフラ投資が積極的に行われていたが、景気失速、過剰設備投資があだとなって29年NY大暴落につながっています。
*米国は29年大暴落と89年の日本バブル崩壊を学んでいるので、同じことは繰り返さないとは思うが、「山高ければ、谷深し」異状に上がった株価は、下がるのは必然。世界は学習しているとはいえ、皆無とは言い切れないと思います。
以上、経済は生き物。一歩先は闇。当たらずとも遠からず。ご参考まで。
2025・4・12
ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣