328号
日本経済・25年3月期実績と26年3月期、業種ごと見通し(日経5・27朝刊より)
・25年3月期上場企業4年連続最高益
・7割の業種が損益改善
・但し、25年1~3月期最終減益
・26年3月期の見通しは慎重
・25年3月期に円安、ドル高、政策金利上げ、インバウンドの恩恵を受けた業種全般では海運、銀行、鉄道、バスは増益。
・26年3月期増益予想率の高い業種は、医薬、精密機器、石油、食品。
・損益予想率の高い業種は、トランプ関税、円高傾向から海運、自動車、製造業、商社となっています。
・現時点での見通しで、関税問題、経済ショックや為替の変動、有事などにより変動します。
上場企業、全36業種の25年3月期実績/26年3月業績予想ランキング
| 25年3月期経常増益業種実績 (24年比)% | 26年3月期経常増益業種予想 (25年比)% | 26年3月期経常損益業種予想 (25年比)% | |
| 1 | 海運 80,1 | 繊維 250(前期が小さい/参考不可) | 海運 ▼57,7 |
| 2 | 通信 39,7 | 医薬品 24,5 | 自動車・部品 ▼32,9 |
| 3 | 建設 33,5 | 精密機器 24,4 | 電力 ▼25 |
| 4 | 化学 31,4 | 石油 15,4 | 鉄道・バス ▼15,0 |
| 5 | 銀行 29,3 | 食品 14,0 | 製造業 ▼6,8 |
| 6 | 非鉄金属 26,6 | パルプ・紙 11,7 | 通信 ▼7,1 |
| 7 | 鉄道・バス 24,9 | 銀行 9,2 | 商社 ▼5,0 |
| 8 | 医薬品 20,1 | サービス 8,2 | 建設 ▼3,4 |
| 9 | 電気機器 19,4 | 鉄鋼 6,2 | 非鉄金属 ▼3,9 |
| 10 | 不動産 11,8 | 化学 5,4 | 機械 ▼3,2 |
*住宅は建設業に含まれていて、今の段階では集計不可。またダイワ、セキスイ、住友林業は海外事業の売上が50%近く。PLG(ミサワ、パナ、トヨタH)はトヨタの事業部。ハイム、旭化成も本社事業部で住宅だけの業績詳細は不詳。
*住宅業界の業績動向を見るのには、今やハウスメーカーだけで分かりません。むしろ、飯田G、タマホーム、設備機器のLIXILの業績を見たほうが正しく判断できます。(次ページ表参照)
ところで、25年インバウンド訪日外国人数は4020万人(前年比108%)、関連業種(サービス、ホテル、航空、鉄道、バス、小売り)は意外と伸びていません。新興国からの観光客が多くて、あまりお金を使っていないようです。2023年は5兆3,065億円(19年比+10.2%)で過去最高。24年も5,5兆円くらい。GDP比で0,9%、騒がしい割には1%にも満たないわけです。更に、出国前に航空代、ホテル、旅館代等を自国通貨で精算して来日してくるので、日本には経費を先取りされた残りの金額が振り込まれているだけ。しかも、大半の訪日客は、日本で使うのはラーメン、回転すし等の低料金の食費、ドンキの土産物、バス、電車の足代位なものでGDPを押し上げるだけの効果は期待できません。
参考:23年、国ごとの使用額は、台湾の7,835億円(14.8%)が最も高く、次いで中国7,604億円(14.3%)、韓国7,392億円(13.9%)、米国6,070億円(11.4%)、他の順となっています。意外と台湾頑張っています。
■ハウスメーカー、分譲業者、LIXIL業績の推移
住宅業界の動向を見るのには、今やハウスメーカーはマンション、リホーム、不動産、仲介、海外売上等々総合建設業なので、住宅だけの業績はよくわかりません。なので、飯田GHやタマホーム、LIXILの業績のほうが住宅業界見通しの指標になると思います。
下表をご覧ください。09年リーマンショック後、2012年まで低迷していましたが、安倍政権の金融緩和、政策金利ゼロ効果で業績回復中でしたが、20年2月コロナ感染問題で21、22年は業績低迷しましたが、海外戦略、販売価格値上げ効果で建設物価上昇をこなして急回復中。26年度は、セキスイ、住友林業は海外売り上げが強気です。ただ、金利次第で業績は大きく影響を受けます。
「2025年5月、米国の住宅着工は前月比9.8%減の季節調整済み年率125.6万戸となり、4月の上方修正後の139.2万戸から大幅に低下し、市場予想の136万戸を大きく下回った。これは2020年5月以来の最低水準であり、高金利と供給過剰で着工を抑制」した。とあります。
・コロナ前の19年と25、26年決算期の比較
コロナ前の決算期2019年に比較して、25年、26年は下表のように売上、営業利益、経常利益は順調のようです。特に、セキスイ、住友林業は、海外戦略で売り上げ、利益ともに倍近くとなっています。大和ハウスも住宅外商業施設、海外売上が寄与しています。
・飯田グループは、分譲住宅在庫調整などが寄与して前期を底として、回復傾向の様子です。
・タマホームは、19年まで長期低迷していましたが、23年、24年5月期は値上げ効果で急回復しましたが、建設コスト、金利上昇で、低所得層、若年層の受注減で26年度も業績低迷が続くようです。
・業績の推移 前期比プラスは着色
| 25年3月期実績 26年3月予想 | コロナ前2019年3月期(億円) | 売上(億円) | 営業利益(億円) | 経常利益(億円) | |||||
| 売上 | 営業利益 | 経常利益 | 25/3 | 26/3予想 | 25/3 | 26/3予想 | 25/3 | 26/3予想 | |
| 大和ハウス | 41.435 | 37.219 | 35,946 | 54.348 | 56.000 | 5.463 | 4.700 | 5.160 | 4.300 |
| セキスイ (*決25/1・26/1予) | 21.603 | 18,922 | 19.519 | 40.585 | 45.000 | 3.313 | 3.620 | 3.016 | 3.390 |
| 住友林業 (*決24/12・25/1予) | 13.088 | 4.925 | 5.143 | 20.536 | 25.560 | 1.945 | 1.950 | 1.165 | 1.230 |
| 飯田GH | 13.449 | 9.711 | 9.412 | 14.596 | 15.780 | 805 | 853 | 743 | 770 |
| タマホーム (*決24/5・25/5予) | 1.861 | 736 | 695 | 2.477 | 2.070 | 125 | 40 | 128 | 39 |
| LIXIL | 16,924 | 4.901 | 4.759 | 15.047 | 15.400 | 2.968 | 3.000 | 2.015 | 2.100 |
・今期見通し
インフレ率2%を超える所得が増えない限り、住宅業界は低迷が続きそうです。4月の新設住宅着工数は3月、4号建築前倒しの影響もあり持家,貸家,分譲住宅が大幅に減少したため,全体で前年同月比26.6%の減少となっています。
・5月見通し:前倒し効果の反動は5月も継続の可能性
3月に申請が集中したことにより、工務店では、確認通知の受領遅れ、資材、業者への発注遅れから5月も着工は減少傾向が続くと思われます。
・ 6月以降は緩やかな持ち直し?
金利は依然として歴史的低水準にあり、住宅購入希望者の意欲は底堅い。
2025年4月からの省エネ基準義務化に向けた「駆け込み需要」も、秋以降に現れる可能性があります。
よって、6月~夏場にかけて徐々に持ち直す展開も予想されるが、V字回復には至らないようです。
また、物価高・人件費高騰・資材不足による中小工務店の「着工意欲の減少」も続いているようで、供給側の意欲減少が続きそうです。
ただ、このまま推移すると9月、3月決算期には、売り上げ減少、経常赤字が避けられません。販管人件費等の削減が迫られそうです。
住宅業界は大きな転換期にありますが、こうした状況だからこそ、本質的な経営力や現場力を磨くチャンスでもあります。これからの時代を生き抜く実践モデルづくり、ご一緒に考えていけたら幸いです。
何かありましたら、いつでもご相談ください。
2025・6・21
ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣