332号・英国にはこんな名言があります

「先代が家を建て、二代目が内装を整え、三代目が庭を造る」親子三代100年かけて邸宅を完成させる」。という名言があります。

なので、三代目以降は住宅資金を借り入れることもなく豊かさを享受しています。欧米の住宅寿命(米国103年、英国141年)に比べて、戦後の木造、プレハブ住宅は30年。品確法、長期優良住宅推進政策により、住宅寿命が延びつつあるとはいえ、欧米に比べるとまだまだ短いと言われています。

実は、戦前までは日本でも数代にわたって住み続けられていた住宅は数多くありました。古民家でなくても地方に行けば、今でも100年、200年住宅は当たり前のように存在しています。建築基準法もない時代、大工、棟梁の経験と伝統的な工法、技術で建てられています。構造計算もしない時代、多くの地震、風雪にも耐え、生活スタイルの変化にも対応して住み続けられています。このころの住宅のほうが高耐震で長期優良住宅といえるかもしれません。

古民家は甦る

日本の住宅寿命が短くなったのは戦後からのことです。戦前に建てられた古民家や住宅は100年、200年経年した今もまだまだ日本には多く残っています。

近年、地方では使い込まれた構造体、建具などを生かした形で改装し住宅、民泊などに再建して古民家として甦っています。

仮に解体されたとしても、その柱や梁が高い値段で売却されて住宅や都会の店舗などでアンティークなインテリアとして甦っています。お客様もそれを見てどこか懐かしさを感じているのでしょう。

また、これら解体後の木材は先述のように再利用や燃焼用エネルギーとなっています。それに比べると、近年の住宅は塩ビで覆われた建材が多用されているので産業廃棄物となって環境問題の原因にもなっています。

プレハブ住宅は古民家のように甦ることはない

日本ならではのプレハブ住宅には大きくは、ダイワハウス、セキスイハウスの軽量鉄骨系とミサワ、木質パネル系、住友林業の木造住宅、2X4の三井ホーム、大成パルコンのコンクリートパネル系があり、いずれも1960年代に発明、開発された住宅をプレハブ住宅といっています。

 当時、ハウスメーカーの住宅は住宅需要の急増に対応するため、大量供給を目的とした工法開発、工業化によって住宅を安価に提供することを目的としていたので、耐久性よりも品質の均一性、標準化、工期の短縮、コストの低減が目的だったので環境配慮、再利用という考え方はなかったように思います。

長期優良住宅制度が導入されてからは、確かに構造体の耐震性、耐久性に加えて、メンテナンス対応はよくなっています。

ただ、ハウスメーカーが最も熱心なのは、構造体をいかに小さく、薄く、軽く、施工性をよくすることによって利益を確保する。そのことが工業化の目的でもありました。

なので、構造強度は構造体保証期間内の耐久性となっていて、決して余裕のある構造体ではありません。構造体の断面は最小に、いかに耐震性を強化するかの研究には熱心です。

例えば、開口部の大きさや柱で囲う空間の大きさを制限したり、構造体を金物で補強、制震ダンパーなどの取り付けやオプションで免震装置の取り付けなどで対応しています。

耐久性の観点からは、メンテナンスの有償点検の制度化(施主のメンテナンス義務化により費用負担が大きくなっています)などで耐久性を伸ばそうとしています。

ところで、仮にハウスメーカーの構造体が100年耐久したとしても空間の大きさに限界があるので、その時代のライフスタイル、設備機器の入れ替え、間取りの改変に限界があります。また、今の流行を追ったデザインがその時代に対応できるかの問題もあります。

さらに、外壁材のサイディング、内装材は塩ビシートに石油系材などの新建材が多用されていて劣化、時代遅れのデザインとなっていくばかりです。リフォームしたからといってとても長期に住み続けられるとは思いません。なので、ハウスメーカーの住宅は古民家のように甦ることは考えられません。

農業、林業中心の地方では、家族制で代々、住み続けられる大きな住宅が必要です。ハウスメーカーにはできなくても、工務店なら耐震性、耐久性の高い住宅、その地域にあった住宅の取り組みはできます。

2025・8・3

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣