339号・伝統的木造建築、古民家から学ぶ
「伝統的木造建築、古民家から学び、木の特性を考慮して、正しい建て方、使い方、維持管理をすれば、100年、200年住宅も夢ではありません。木造建築は日本の気候風土に適していて、これほど人に優しい住宅は他国にはありません」

(株)リグ、京町家展示場 MY設計

古民家宿「そよも」さんより
■伝統的木造住宅は、地産地消、高耐震、高耐久、地域になじんだ住宅です。
日本の森林率は67%と世界でもトップクラスの木の国です。木造建築は、もっとも日本の気候風土に合った住まいです。森林豊かで、木材には困らない日本。輸入材よりも高いとはいえ、21年のWOOD SHOCKに円安、輸入木材が上昇したこともあり、国産木材との価格差が縮小してきました。海外からの輸入となれば輸送コストにエネルギー消費、発生する二酸化炭素、地球環境問題から見ても良いわけありません。地産地消、掛け声だけでなく住宅の木材についてもう少し冷静に考えてみましょう。
欧米の住宅寿命(米国103年、英国141年)に比べて日本では長くなったとはいえ40~50年。100年、200年住宅の構造体に使用される柱になるためには、間伐集成材で50年、無垢材で100年以上の樹齢が必要です。伐採そのことが環境破壊ではありません。伐採後は植栽「植えて育てる」、その木材の成長よりも早く消費すれば、森林の持続可能性が無くなり、環境問題に影響を与えるが、木という資源を持続可能な状態に持ってゆくためには、木が伐採されるまでの期間よりも住まいを長く使う事が大切です。つまり、50~100年で伐採するのであれば、それ以上の耐久性のある住宅を作れば、森林は持続可能です。さらに、役目を終えた木材の再利用や再資源化することが出来れば「資源循環型社会」の実現が可能です。
日本の住宅の寿命が短くなったのは戦後からのことです。戦前に建てられた古民家や住宅は100年、200年経年した今もまだまだ日本には多く残っています。
近年、地方では外国人によって使い込まれた構造体、建具などを生かした形で改装されて「古民家は甦っています」。また、仮に解体されたとしても、その柱や梁が高い値段で売却されて都会の店舗などで甦っています。お客様もそれを見てどこか懐かしさを感じるものがあるのでしょう。
これら解体後の木材は再生可能な木材資源、石油、石炭に代わる燃焼エネルギーとなっています。それに比べると、近年の住宅は塩ビで覆われた建材が多用されているので産業廃棄物となって環境問題の原因にもなっています。
住宅の構造体は、輸入材に比べて国産材は少し高いとはいえ、35坪程度の家なら100~200万円増程度の負担です。高級キッチンにトリプルサッシもいいけれど、もう少し、お金を構造体に廻して長く住める住宅を作るという理解が必要です。30年の住宅寿命が100年になればその価値は十分にあります。住宅にとって最も必要なことは、災害に強く長く住み続けられることです。
そのためにも、地震はもちろんのこと、台風や水害、浸水などの自然災害対策も考慮した建築計画を立てることや、将来を俯瞰してみて、次の世代への引継ぎやその時代の家族構成の変化、生活スタイルの変化、住宅設備機器の入替え、間取りの改変、増築などに対応できること。
さらに、長い年月を経ても飽きの来ないデザイン、古民家や欧米などのように使うほどに味わいの出る天然建材の多用、適切なリフォーム、補修、修繕などの維持管理をするなどで資産価値の上がる努力、住み続けられることが大切です。そのためにも、構造体にお金をかけるべきだと思います。如何でしょうか。
ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣