340号・日本の住宅の資産価値

 日本では、地価や利便性の高い都市部はともかくとして、地方では、建物の資産価値はRC造、鉄骨造、木造かプレハブ住宅かの構造と築年数での評価となっています。

 木造住宅では、柱、梁の断面の大きさとは関係なく法定耐用年数では22年と定められています。なので、例えば、柱の太さを15センチ角以上としても22年の評価なのです。これでは、わざわざコストの高いこのような丈夫な構造体にはしませんよね。なので、工務店も大手住宅会社もせいぜい12センチ角柱以下のものを使用しています。この法定耐用年数は減価償却などの税や住宅ローン審査でも用いられる計算用の数字で住宅の耐久性とは全く関係のない数字です。

写真は15センチ角柱

 ところで、不動産業者の間では、その時代のデザイン、ライフスタイルに見合った間取りでない限り、法定耐用年数の22年を超え、フラット35ローン完済近くの35年もたてば建物の資産価値の評価はほぼゼロに近い状態となっています。リフォーム済だとか、綺麗に住んでいたとしても、気持ち程度の資産価値の上乗せ程度です

 その時代の社会的状況やライフスタイルに対応できているか、利便性などの需給関係で価格が決まっています。場合によっては、その建物の解体工事費を土地価格から減額される場合が一般的となっています。なので、30年を超えてくると更地にでもしない限り誰も買っていただけません。

■欧米と日本の住宅の資産価値の違い

 欧米の住宅が長い年月使用され続けているのは、構造躯体に無垢の大断面構造材、2x4工法でも大空間を求める住宅では2x6工法などで耐久性の高い構造材を用いています。屋根材も玄昌石、外壁には、石やレンガ、タイル張り、床材もオークやチークなど広葉樹の無垢の堅木材に石やタイル張り、窓、ドアの額縁や建具も無垢材など耐久性の高いものを使っています。改装においても、将来の家族構成の変化やライフスタイルの変化、住宅設備機器取り換えなどの対応があらかじめ考慮されているから住む人の嗜好によって改装、取り換えができるように構造体と間仕切壁が分離可能な工法が採用されています。

 また、手入れも補修の範疇ではなく、収入が増えるごとに子供の成長に合わせて大凡5~10年に一度模様替え、住み替え時には大改装をしています。皆さんもTVや映画でもよく見る欧米の住まい。インテリアもオシャレで豪華、住むほどに深みのある住宅となり、資産価値が高まっていくようです。

 ところが、日本では住宅のそれぞれの間仕切壁、柱が構造負担をしているので、それを撤去して、部屋を大きくするなどの改装は、概ね不可能に近いです。

 なので、20~30年に一度の模様替えといったほうが正しいかもわかりません。内装材も新建材が多く、ドア、枠材、窓額縁は、木目印刷の塩ビシート張り、色柄は退色、ところどころ剥がれている。貼り物の床フローリングも傷や下地合板が見え始め、その上に木目印刷をした塩ビシート上貼り、これも初めは綺麗だが数年もすれば、つやもなくなりただのビニールシート。天井、壁は同じようなクロスの張替え、傷んだ住宅設備機器の入れ替えがせいぜいで、間取りの変更までの余裕はありません。

 さらに、外観は時代遅れのデザイン、外壁のモルタルはクラック、サイディングは時代遅れの柄。外壁、屋根の張替えではなく塗装の上塗りでは、いくら模様替えをしても、これでは誰も買ってくれませんよね。

そのころ、空き家がさらに増加している時代に、長期優良住宅、リフォーム済といっても、これでは誰も買いません。売却できるかできないかは構造体を点検、補修をしたうえで、その時代のデザイン、間取り改変に対応できるかどうかだと思います。

 生き残るためには、大手にはできない「独自の本物の住宅」に取り組むべきです。

次回341号は、”耐震等級3の罠”をお送りします。

2026・2・

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出正廣