265号・契約効率を高めるコンサルティング・セールスのすすめ

  • インフレ傾向になると顧客層が変わる

・ローコスト住宅~高額住宅へ

  • 1・欲求型消費から理性型、感性型消費客に変化

家が欲しいという欲求型から性能や価格、信用度などが重要視され理性で判断。デザインや個性を重視する感性で選ぶようになります。

  • 2・価値観の多様化

個人の価値観が多様化し、生活パターンや嗜好が大きくばらつくようになってくる。企画住宅から注文住宅で購入するようになります。

  • 3・賢い消費者が増加

多面的な観点から情報を入手分析し、合理的な判断を下す消費者が多くなります。

  • 4・営業マンから住宅コンサルタント(専門職を目指せ)へ

中、高所得層は専門知識や安心を求めます。

  • 5・専門知識を高める

住宅は、高額商品だけに専門知識、志が高くなければこれからは売れなくなります。

*ミサワに籍中、バブル当時、社長から経済や株、金融のことがわからない営業、設計ではこれから家が売れるわけがないですよね。とよく言っていました。一理あると思います。

理性型消費者は、数社を対象に理性的(性能、仕様、構造、間取り、デザイン、 価格など)に判断する顧客が多くなり、今までの売り方が通用しなくなります。 また、契約までのりードタイムが長期化してきます。

 

 コンサルティング・セールスとは、お客様にとって最良の提案をすることです。営業マンの「売る、売らない」ではない。お客様の「買う、買わない」で決まる。セールスを完結させるのは、営業マンではなくお客様で、営業マンに決定権はありません。

 ここで大切なのは、「お客様そのものの視点」になること。買う気で売る」。あなたのセールスで買う気になるか客観的に判断できる感性が必要。「それがコンサルティング営業の大切なポイントです。

 これを行う際、営業マンにとって大切なのは、自社の商品をどう売り込むかではなく、どうお客様に理解してもらうかである。そのためにも、お客様の事をどこまで理解しているかが重要となってきます。

 つまり、お客様のことを「わかろう」とする努力と、お客様に「わかっていただこう」とする努力が必要です。  

真の「顧客中心主義」に徹して、お客様の希望達成、満足度のみに焦点を絞り込む。それがコンサルティング・セールスです。

コンサルティング営業の流れは「聞く」➔「整理する」➔「問題点を抽出」➔「解決案を提案する」➔「大丈夫、任せて安心」である。これを分析すると、次のようになる。

ステップ① 「聞く」 →「整理する」

お客様の家づくりへの不安や不満は何か?

 コンサルティング・セールスの基本は、まず相手が聞きたがっていることから話すこと。家を建てたいということはわかっている。しかし、何から手を付けたら良いのかわからないのがお客様のホンネ。ローンが付くか、会社の信用度や構造、性能、デザイン、建築費が高いのか安いのか、メンテナンス、保証、良い職人さんに恵まれるのか。不安や要望を徹底的に聞き出し問題点を整理して解決に導いてあげること。

ステップ②「問題点を抽出」→「解決案を提案」→ 「大丈夫です/お客様は家を建て

ることができます」

 少々傲慢に聞こえるが、つまるところお客様が聞きたいのはこれ。提案する以上は、先に予算や様々な問題をすっきりさせておくことが大切。ここを飛び越して、いきなり性能や間取りの話に進むから話が途切れる。

ステップ③ 要望を徹底的に聞き、契約への流れを教える。

 どうしてお客様は、営業に本音をなかなか話したがらないのか?

 答えは簡単。どうすれば契約できるのか、営業マンが本音を聞き出そうとしないから。きっちりとお客様のご要望が確認できれば、どのような条件が整えば契約できるのかきっちりと伝えることが肝心。「契約」という言葉を恐れる営業では、いつまでたっても結論は出ない。勇気を持って契約までのスケジュールを説明すること。

ステップ④ 勇気を出して「私に任せてください!」と言う。

 私に任せてくださいますか?と言われれば、YES、NOは自然とはっきりする。NOならば、どうしてNOなのかを聞けばいい。すると、もう一つ深いところにある不安要因が見えて来る。この不安要因が見えたら、勝負は決まったようなもの。恐れないで早めに聞き出すことが大切。

コンサルティング・セールスは、営業マンが先生にならなければならない。「お客様は神様」には違いないが、最後までお客様に頭が上がらない状態では、コンサルティング・セールスはできない。

だから、どこかの段階で、立場を入れ替えなくてはならない。その勝負は、じっくりお客様の不安や悩みを聞いたあと。

ここからコンサルティング・セールス、つまり提案営業と解決営業がはじまる。「なるほど、納得できる」とお客様が感じた段階で、立場が入れ替わる。

  

 つまり、お客様が自信を持ったとき、そして、営業マンや設計マンが感謝や信頼、尊敬され始めた時である。

 そのときに営業マンや設計マンが家づくりの先生となり、お客様が生徒になる。生徒が先生に質問や相談をしてくるようになれば、あなたは立派な住宅コンサルタントとなる。こうなれば信頼関係は崩れない。お客様から契約を申し入れてくれる筈だ。

  

ちょっと考えて見てください。弁護士や、税理士に相談する時、はじめから先生として相談しますよね。それは、先生が自分よりもよく知っているからでしょ。そして、可能性のある解決策を提案してくれる。納得できれば任せますよね。住宅営業も同じです。

 ハウスメーカーの営業マンは、問題点、不安要因、希望や要望をしっかり聞かないで、会社のPR、役調や、現調、地盤調査、敷地測量やプランサービスでお客様にプレッシャーをかける。

 そうしてお客様に貸しを作り追い込んでいく。契約の事ばかりを考えて押し切ることしか知恵がない。若いお客様は騙せても、年配、社会的地位が高い、所得が高い、インテリ、成功者のお客様は、それほど簡単ではない。

 お客様のほうがよく知っていることが多い。だからお客様から見れば、物足りなく不安で仕方がない。

なので、お客様以上に勉強して知識を高め、問題解決、提案能力を高めなければならない。お客様があなたの事を認めれば、お客様から先生といわれるようになる。そうなればあなたも一人前。