270号・マイナス金利解除 

19日、日銀によるマイナス金利解除の発表がありました。今後住宅価格はどうなるでしょうか。

今、米国の住宅ローン固定金利は6~7%前後。89年日本バブル時は8%、それらに比べるとまだまだ低金利。マスコミが騒ぐので、バブル経験のない若い人にとっては慎重になってしまいます。

金利が上昇し始めると住宅価格も上昇します。金利も住宅価格も下がることはないので家を建てる計画のある人への促進が必要です。

70年代の分譲住宅価格は1500~2000万円、80年代のバブル時には4000~6000万円(2,8倍)が相場でした。米国もコロナ前までは分譲住宅の平均価格は30万ドル、現在は70~80万ドル(2,5倍)。大都市近郊では100万ドル(日本円では1,4~1,5億円)となっています。

日本でも同じことが起こる

金利が上がり始めると販売が落ち込むので、一時的に住宅会社は土地や建物を小さくしたりして販売価格を抑えようと企業努力するが、やがて追い付かず住宅価格も上昇します。

70年代当時、プレハブ各社は工業化を図り、安く提供することが使命でしたが、80年代になって金利が上昇し始めると、土地価格も上昇、資産価値が向上し、消費者は豊かさを求め始めました。ハウスメーカーはローコストから高額住宅にシフト替えしていきました。そして、バブル崩壊。その後、多くの住宅会社が淘汰されていきました。

株、金利は動き始めると2~3年でピークに達する

米国の株、金利は2~3年でピークに達しています。米国21年1月、住宅ローン固定金利(中央値)2,65%が23年10月には最高金利7,9%に達しています。今夜FOMC米国金利下げがあるか注目されています。利下げとなれば僅か3年でピークアウトという事になります。日本のバブル時も同じです。

つまり、3年近くのことなので住宅購入に乗り遅れた人には返済額の変わらない固定金利がお薦めでしょうね。変動金利の場合、5年暫定期間があるとしても返済期間の延長、途中解約の清算時には残債額が増えることになります。

歴史は繰り返す

人は迷いがあると過去を参考にするので「少し形が変わっても本質は変わらないので歴史は繰り返す」といわれています。

ゴンドラチェフ経済学者は「好況→バブル→崩壊→不況→再生」を60年で繰り返すといわれています。

松下幸之助は、経営者は景気の良い時30年+悪い時30年、両方の60年を経験して一人前といっています。

 1949年、東京株式市場再開、50年、朝鮮戦争勃発、平均株価85円の底値からスターリン、キューバ、石油、中東ショック、プラザ合意、89年11月ベルリンの壁崩壊等々いくつかの経済ショックを乗り越えて89年、38915円(458倍)の最高値を付けました。

その後は湾岸戦争、阪神淡路大震災、イラク戦争ショックを経て、極めつけは08年リーマンショックまで下げ続けて09年最安値7056円が大底。つまり、1950年の大底から2009年の大底迄59年。偶然でしょうか。ゴンドラチェフの60年サイクルにピッタリはまっています。

日経平均はまだ道半ば

09年7056円の最安値から15年経った24年の今、89年の38915円(5,5倍)の最高値を更新。ピークに達するまでゴンドラチェフ理論からするとあと15年あります。日経平均はまだ道半ばでしょうか。ここ2~3年のうちに株式格言からすると倍返しは、38915-7056=31859x2=日経平均は63718円となります。

その後も幾度かのショックを乗り越えて、経済は形を変えながらも2039年ころまで上下しながら上昇を続けると思われます。ただ、この間にも多くのショックがあるので、強い信念がないとぶれてしまいます。

バブルは経営ショックにつながることが多い

 経験値からするとこのバブルに乗っかって、事業を拡大しすぎると○○ショックという落とし穴に。コロナショックから4年目、前述のように5~7年に一度大きなショックがあります。その前提での慎重な経営が大切だと思います。

バブル後の優良上場企業では、売上ベースで前期比20~30%以上の事業拡大後は1~2年踊り場として調整時期を設けています。調子に乗って事業拡大し続けた多くの会社が淘汰されています。

攻めるときと守るときのメリハリが大切です。益々の堅実経営を祈念しています。

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出 正廣