272号・24年2月日米新設住宅着工戸数 

24年2月の「新設住宅着工戸数」は9ヶ月連続マイナスに

 国土交通省は3月29日、建築着工統計調査報告2月分を発表した。

新設住宅着工戸数は5万9,162戸、前年同月比91.8%で、9ヶ月連続のマイナス。内訳では持ち家の前年割れは27ヶ月連続、分譲住宅も2ヶ月連続のマイナスとなった。

24年2月の米国新規住宅着工件数(速報)

・米国商務省から発表された2024年2月の新規住宅着工件数(季節調整済年率換算)は、1,521千戸で前月比10.7%の増加。23年11月、12月の水準に回復となった。

注文住宅の新設着工に弱さが見られます。国土交通省「住宅着工統計」によると、注文住宅の新設着工は、建設価格の上昇だけでなく高齢化や人口減少といった人口動態による構造的な需要の縮小を背景に長期的な減少トレンドにあると報告されています。

木造住宅の建築費用の動きを見ると、2021年半ば頃から急速に上昇。直近2023年11月にはコロナ前(2019年11月)対比+15.1%の上昇。また地価も国土交通省「不動産価格指数」によると、直近2023年11月における住宅地の取引価格はコロナ前(2019年11月)対比+12.9%の上昇となっている。

これにより、注文住宅の取得費用(建築費と住宅地の取得費用の合計)は、直近2023年11月にはコロナ前(2019年11月)対比+14.4%の増加。

ただ、この数値は全国平均なので、関東、関西では20~30%上昇しています。

これに対し、家計所得が住宅購入に利用できる資金は十分には増えていない。住宅取得の中心をなす30~40歳代の勤労所得は春闘での賃上げ復活を受けて増加しているものの、注文住宅の取得費用の増加ペースからは程遠く、総務省「家計調査」によると、2023年における世帯主が勤労者である二人以上世帯の可処分所得は、世帯主が35~39歳の世帯ではコロナ前(2019年平均)対比+4.3%、40~44歳の世帯では同+6.0%の増加にとどまっています。

また、この間、日本銀行による政策修正の動きを反映して、固定型の住宅ローン金利が上昇に転じていることも、一部の家計の資金的な余力を低下させていると考えられます。

今後の見通しとしては、住宅価格は高止まりしているとは言え、住宅購入予定者は、賃金が今後継続的に上昇するのか、ローン金利がどの程度上昇するのか、住宅価格がさらに上昇するのか様子見という感じがします。

ただ、地方でも地価上昇傾向、そして住宅価格は、24、25年(運送、建設業の労働環境、労働時間短縮などで工期の長期化、さらに、高齢職人さんの引退などで建設従業者の人件費の上昇は避けられない)問題。

また、工期の長期化は、売上減少につながり、会社運営経費が増加するので経費率上げざる得なくなります。こうしたことを考えると建設価格が下がることはないと考えられます。ご参考まで。

(出所)国土交通省「建設投資デフレーター」、「不動産価格指数」、住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」を基にMUFGが作成

ハウスビルダー販売支援研究所 代表 大出正廣