273号・ハウスメーカーと同じコストなら工務店では高耐久な家が建つ

・英国にはこんな名言があります

「先代が家を建て、二代目が内装を整え、三代目が庭を作る」親子三代100年かけて家を完成させる」という名言があります。欧米の住宅寿命(米国103年、英国141年)言われています。なので、三代目以降は住宅資金を借り入れることもなく豊かさを享受しています。

欧米に比べて戦後の住宅寿命は30~50年、あまりにも短すぎました。世代ごとに住宅ローンを組んで建て替えや大規模リホームをしていれば欧米人のようにいつまでたっても豊かさを享受できません。

・日本でも古民家や農家は100年、200年は当たり前

実は戦前までは日本でも数代にわたって住み続けられていた住宅は数多くありました。古民家でなくても地方に行けば、今でも100年、200年は当たり前のように存在しています。建築基準法もない時代、大工、棟梁の経験と伝統的な工法、技術で建てられています。構造計算もない時代、多くの地震にも耐えた、このころの住宅のほうが高耐久、超長期優良住宅で豊かな生活をしていたといえるかもしれません。

・日本の住宅寿命が短くなったのは戦後のこと

戦後の木造住宅や1960年代後半から大量供給を目的としたプレハブ住宅の普及によって、2000年代に入ってその寿命が30年と問題視されて、長期優良住宅制度が導入されました。それでもこれらの住宅寿命は、せいぜい50~60年が限界でしょう。

というのは、木造住宅の構造体に使用される柱になるためには、日本では無垢材で50年以上の樹齢が必要です。ところで、間伐材というのは良木を育てるために、右図のように、生育の悪い木、ねじれている木を間引く材のことを言います。

30年以下の間伐材はまだ幼木で強度も小さく、ねじれ、収縮も大きく集成材にしないと構造材としては使えないと言えます。なので、樹齢30年以下の間伐材の無垢材を使用するのであれば集成材のほうが品質は安定しているといえます。

集成材が普及し始めたのは、阪神淡路大震災の後です。いまでは、環境への配慮や建築技術の進歩により、集成構造材がより一般的に使用されるようになっています。

ただ、木の寿命は樹齢=寿命といわれています。なので、いくら品質の良い集成材といっても50~80年が限界でしょう。せいぜい3代目が住むことが出来ればよいほうでしょう。

・住宅の寿命≧間伐材の寿命=森林の持続可能性

木という資源を持続可能な状態に持ってゆくためには、木が伐採されるまでの期間よりも住まいを長く使う事が大切です。伐採後は「植えて育てる」、その木材の成長よりも早く消費すれば、森林の持続可能性が無くなり、環境問題に影響を与えますが30年、40年で伐採するのであれば、それ以上の耐久性のある住宅を作れば、森林は持続可能です。そして、住宅の役目を終えた木材の再利用や再資源化することが出来れば「資源循環型社会」の実現が可能です。

・ご提案

そこで、ご提案ですが工務店の差別化戦略として、大手ハウスメーカーと同じコストであれば「大手ハウスメーカーの粗利は50%前後、工務店の粗利は30%。この差の20%で」構造体に樹齢50~100年以上の12~15センチ角無垢柱を使用した高耐震、高耐久、大きな空間を売りにした住宅で差別化することを検討してみてはいかがでしょうか。

ただ、構造体が丈夫でもライフスタイル、住宅設備器の変化、間取りの改変に対応できる構造計画、間取り、飽きの来ないデザインにすることも大切です。

経済が好循環してくると、資金的な余裕のあるお客様、複数世帯、農家、商家など地元で長く住み続ける必要のある人は、そうした住宅を求めてくるはずです。着工数が減る中では、こうした差別化も必要です。

2024・4・12 ハウスビルダー販売支援研究所